88式地対艦誘導弾は、航空自衛隊のF-1支援戦闘機に搭載されていた80式空対艦誘導弾ASM-1を地上発射用に改良した、自走式の地対艦誘導弾システムです。1979年から開発が始まり1988年に制式採用されました。
誘導弾(ミサイル)自体はASM-1と同様のものが使用されていますが、地上から射撃するため誘導弾のエンジンに改良が加えられています。改修箇所としては、地上から撃ち出すため誘導弾後部にロケットブースターを追加。エンジンも固体燃料ロケットモーターからターボジェットに換装して有効射程を延長しています。
初速が必要となるため発射機から撃ち出された直後にはロケットブースターに点火。推進剤が尽きると射程の延長のためターボジェットに切り替えて目標まで飛翔する仕組みになっています。
誘導弾発射機の構造として、74式特大型トラックの荷台部分に誘導弾(ミサイル)を6発格納できる円柱状のランチャーを搭載しています。
88式地対艦誘導弾システムの構成
88式地対艦誘導弾のシステム構成として、誘導弾(ミサイル)を撃ち出す誘導弾発射機×16基、その誘導弾を装填する誘導弾装填機×16基、撃ち出される誘導弾(ミサイル)×96発、これらの車両は74式特大型トラックが使われます。
さらに敵艦艇を探索する捜索・評定レーダ装置:JTPS-P15×12基、レーダ中継装置:JMRC-15」×12基、指揮統制装置×1基、射撃統制装置×4基、これらすべてを一式のシステムとして運用するため、大規模な部隊展開が必要になります。ちなみにレーダーと中継装置は73式小型トラック(1/2tトラック)に、指揮・射撃統制装置は73式大型トラック(31/2tトラック)に装置を搭載しています。
システムの運用方法として、接近してくる敵艦艇に対して海岸付近までレーダー装置を展開し、その捜索・評定情報を中継して伝送後、内陸部に展開している誘導弾発射機から射撃します。
撃ち出された誘導弾は事前にプログラミングされたコースに沿って、山腹を迂回、洋上に出て目標に到達して撃破します。目標接近時には誘導弾自体に搭載されたレーダーが探知を始め、アクティブレーダーホーミングによる誘導で目標をターゲットして撃破します。
北部方面隊(北海道)を中心とした地対艦連隊に配備されていますが、88式地対艦誘導弾(改)として開発されてきた新装備の12式地対艦誘導弾の配備進めされています。