手榴弾は人が投擲(放り投げる)をして一定の距離と範囲に損害をあたえる武器です。投げられる距離も20~30m飛ばせるかどうか。とても個人差がでる武器です。擲弾銃はこの手榴弾と同程度の威力をもつ擲弾(てきだん)を発射機から撃ち出せる様にした携行火器です。
ベトナム戦争でもアメリカ軍が小型迫撃砲として使用していました。これを自動発射式に進化させ、マシンガン(機関銃)の様に連続発射可能にしたものがオートマチック・グレネード・ランチャー(自動擲弾銃)になります。海外でも実用性が高く評価されています。個人携行以外にもヘリや車両、警備艇などに搭載しても使われています。
陸上自衛隊では日本独自技術により軽量、小型化された「96式40mm自動擲弾銃」が使われています。製造・開発は豊和工業により国産化。1996年の制式採用後に製造・配備が行われています。
擲弾銃というのは発射薬との間にあるノズルから低速の圧力変化によって弾頭を撃ち出す「高低圧砲」です。銃や火砲に比べて発射装置に掛かる圧力が小さくてすむため、圧力に耐える必要がある銃身部分を薄く軽量に作ることができます。
使用と運用
この日本で独自開発された96式40mm自動擲弾銃はこれまであった擲弾銃よりも軽量化を実現。作動方式も世界的にも珍しいブローフォワード式(排出される薬莢の慣性を利用した発射方式)が使われているもの特徴の一つです。
使用する弾薬には対人、対車両に対処する「40mm対人対戦装甲擲弾」を使用し、調整破片化された成形炸薬弾頭を発射して敵陣地への面制圧や軽装甲車両の撃破などに使用されます。この対戦装甲擲弾は半径15mの面制圧能力と50mm厚の装甲に対して有効です。
また、訓練用として「40mm演習擲弾」も開発され、どちらもダイキン工業によって生産されています。
弾薬の給弾はリンクベルト式。発射方法は単発と毎分250~350発の連射が切り替えらます。敵の状況や撃破目標によって選択します。
運用方法としては個人携行ではなく銃架に設置して使われ、96式装輪装甲車の車長ハッチ銃架への専用搭載火器として使用する場合がほとんどです。滅多にありませんが地上で三脚架に取り付けて使用することも可能になっています。
駐屯地創立記念行事での装備品展示や観閲行進で96式装輪装甲車に搭載されている姿を見ることがきでますが、12.7mm重機関銃M2の様な訓練展示での空砲はありません。
チャンスがあって富士総合火力演習に行かれる機会があれば自動擲弾銃の車上からの射撃が見られます。目標となる複数の風船目標地帯を面制圧する様子が見学できます。