多連装ロケットシステム 自走発射機M270 MLRS

多連装ロケットシステムMLRS多連装ロケットシステムMLRS
多連装ロケットシステムMLRS|コンテナ多連装ロケットシステムMLRS|コンテナ
動作展示「多連装ロケットシステムMLRS」
多連装ロケットシステムMLRS射撃展開展示
自走発射機
多連装ロケットシステムMLRS|車体正面車体正面
多連装ロケットシステムMLRS|灯火類灯火類
多連装ロケットシステムMLRS|ルーバールーバー
多連装ロケットシステムMLRS|履帯部分履帯部分
多連装ロケットシステムMLRS|操縦席ハッチ操縦席ハッチ
多連装ロケットシステムMLRS|コンテナ発射口コンテナ発射口
多連装ロケットシステムMLRS|コンテナ後部コンテナ後部
多連装ロケットシステムMLRS|射撃準備射撃準備
多連装ロケットシステムMLRS|操縦席操縦席
多連装ロケットシステムMLRS|展開走行展開走行
多連装ロケットシステムMLRS|展開走行展開走行
多連装ロケットシステムMLRS|観閲行進観閲行進
多連装ロケットシステムMLRS|観閲行進観閲行進
多連装ロケットシステムMLRS|観閲行進観閲行進
多連装ロケットシステムMLRS|観閲行進観閲行進
弾薬補給車
多連装ロケットシステムMLRS|弾薬補給車弾薬補給車
多連装ロケットシステムMLRS|弾薬補給車弾薬補給車
装備品性能詳細 自走発射機
価 格 約20億円
全 長 約7.0m
全 幅 約3.0m
全 高 約2.6m
全備重量 約25t
最高速度 約65km/h
航続距離 480km
機 関 VTA903
水冷4サイクルV型8気筒ターボチャージドディーゼル
出 力 500ps
武 装 12連装227mmロケット発射機M269×1
使用弾薬 227mmロケット弾×12
構 成
  • ・自走発射機
  • ・指揮車
  • ・弾薬補給車
発射速度 40秒以内に12発発射
乗 員 3名
開 発 ロッキード・マーチン
製 造
  • 車体:LTV(米国)・小松製作所
  • 発射機:IHIエアロスペース
ロケット弾
全 長 約3,900mm
全 幅 約227mm
重 量 約306kg
最大射程
  • ・M26弾(有効射程約30km)
  • ・M31弾(有効射程70km)
  • ・M28演習弾
製 造 ロッキード・マーチン(ロケット弾)
装備品概要解説
多連装ロケットシステムMLRS多連装ロケットシステムMLRS

アメリカによってロケットシステムとして研究・開発が始まり米LTV社の開発案が選ばれると、イギリス・フランス・西ドイツ・イタリアも加わり国際共同開発が始まり、1983年には生産が開始されます。

冷戦時代の東側戦力の侵攻に備えて1970年代に開発された長射程面制圧兵器で、遠距離の火砲・装甲・空挺・上陸舟艇部隊を広域かつ瞬間的に撃破する事を目的として運用されます。

多連装ロケットシステム・MLRS(Multiple Launch Rocket System)は発射機を含めたシステムで、自走発射機、指揮車、ロケット弾運搬車で構成されます。
発射されるロケット弾本体には多数の内蔵された子弾が空中で拡散して降り注ぎ地上を面制圧します。

陸上自衛隊には75式130mm自走多連装ロケット発射機の後継として、1992年から長距離火力支援装置として導入を始めました。

MLRSの実戦はアメリカ軍が湾岸戦争の時に使用していて、当時のイラク軍からは多数の金属片が空から降り注ぐ様子から「鋼鉄の雨」として恐れられました。

車体構造
多連装ロケットシステムMLRS|射撃準備射撃準備

車体にはアメリカ軍の歩兵戦闘車M2ブラッドレーをベースにしたM993運搬車が使用され、車体前部に装甲化された乗員室、中央部にエンジン、後部に旋回式のロケット弾発射機を備えています。

乗員室は操縦と発射管制室になっていて、操縦手、車長、砲手が搭乗し、ロケット弾発射時の噴煙やガスを遮断できNBC防護も可能な気密構造になっていて。
また、窓にはロケット弾発射炎や破片、敵の小銃弾を防ぐためのルーバーが備わります。

発射機には弾体を6発装填したコンテナを左右1つずつ収められ、合計12発のロケット弾を搭載できます。
収められたロケット弾を撃ち終えた後は、6発入りのコンテナごと換装する事でロケット弾を再装填可能。

このコンテナの換装には約3分、再発射まで8分で行えるので、迅速に支援射撃が再開できる高い再攻撃能力を持っています。

ロケット弾について
多連装ロケットシステムMLRS|コンテナ後方コンテナ後方

M26ロケット弾には弾体1つにつきM77子弾を644個も収められていて、全12発を発射した場合には7728個の子弾を敵部隊上空から降らせられる面制圧能力があります。

ばら撒かれたM77子弾が敵戦車や装甲車に接触すると子弾内部の成形炸薬が装甲を貫き、弾片が飛散して周囲の人員をも負傷させます。

このM77子弾は約100mm厚の装甲鋼板の貫通能力、飛散する弾片は対人有効半径4m、200m×100mの地域制圧の攻撃性能です。

また全12発を40秒以内で撃ちきる短時間連続発射能力と、発射機自体が約65km/hで走行する装軌式(キャタピラ)の自走車両なので、射撃場所を特定される前に速やかに離脱できる生存能力も持ちます。

MLRSとオスロ・プロセス
多連装ロケットシステムMLRS|コンテナ後部コンテナ後部

この様な高い攻撃能力を備えている装備ですが、日本は2008年のクラスター爆弾禁止条約(オスロ・プロセス:クラスター爆弾に関する条約)の締結に同意しています。

条約締結により日本はM26ロケット弾も破棄してしまったため、多連装ロケットとしての攻撃力やメリットを著しく失ってしまいました。

クラスター爆弾は爆弾本体から子爆弾を拡散して広範囲を爆撃する高い制圧能力を持ちますが子爆弾が不発弾になりやすく、戦闘終了後の復興時に戦闘と関係のない子供などを負傷させるのが問題です。

M26ロケット弾の子弾もクラスター爆弾と同じ「親弾から子弾が拡散する弾体(砲弾・爆弾)」とのことで日本は破棄しました。

条約締結以降、陸上自衛隊でのMLRSの運用方法が代わり、M26ロケット弾から子弾が内蔵されていない単一弾頭の「M31GPS誘導ロケット弾」を使用しています。

M31にはGPSが内蔵され長射程の目標への精密誘導射撃が行える様にはなりましたが、完全に面制圧能力はなくなってしまいました。

MLRSを保有するアメリカだけではなく日本近隣諸国の中国やロシア、北朝鮮などは禁止条約に調印していないので、日本は著しく防衛力を低下させました。

陸上自衛隊へは2004年までに99両が調達され、北部・東北・西部方面隊の野戦特科団や方面特科隊などに配備されていて、長距離射撃の訓練は日本国内で行えないためアメリカの演習場へ持ち込んで行っています。