陸自調査団 陸上自衛隊装備品自走砲

87式自走高射機関砲

87式自走高射機関砲87式自走高射機関砲
87式自走高射機関砲:装備品展示87式自走高射機関砲:装備品展示
87式自走高射機関砲|操縦席操縦席部分
87式自走高射機関砲|車体後部車体後部
87式自走高射機関砲|車体後方車体後方
87式自走高射機関砲|砲塔砲塔
87式自走高射機関砲|砲塔後部砲塔後部
87式自走高射機関砲|レーダー部分レーダー部分
87式自走高射機関砲|レーダー類レーダー類
87式自走高射機関砲|35mm機関砲35mm機関砲
87式自走高射機関砲|35mm機関砲35mm機関砲
87式自走高射機関砲|機関砲下部機関砲下部
87式自走高射機関砲|機関砲砲口機関砲砲口
87式自走高射機関砲|機関砲弾機関砲弾
87式自走高射機関砲|車体部分車体部分
87式自走高射機関砲|広報センター広報センター
87式自走高射機関砲|装備品展示装備品展示
87式自走高射機関砲|装備品展示装備品展示
87式自走高射機関砲|駐機状態駐機状態

走行・行進

87式自走高射機関砲|通常走行通常走行
87式自走高射機関砲:陣地進入陣地進入
87式自走高射機関砲|陣地進入陣地進入
87式自走高射機関砲|砲塔旋回砲塔旋回
87式自走高射機関砲|観閲行進観閲行進
87式自走高射機関砲|観閲行進観閲行進
87式自走高射機関砲|観閲行進観閲行進
87式自走高射機関砲|観閲行進観閲行進
87式自走高射機関砲|観閲行進観閲行進
87式自走高射機関砲|観閲行進観閲行進

実弾射撃

87式自走高射機関砲|水平実弾射撃水平射撃
87式自走高射機関砲|自走砲2両自走砲2両
87式自走高射機関砲|自走砲2両自走砲2両
87式自走高射機関砲|実弾射撃実弾射撃
87式自走高射機関砲|実弾射撃実弾射撃

35mm二連装高射機関砲L90

87式自走高射機関砲|水平実弾射撃L90(高射学校)
87式自走高射機関砲|水平実弾射撃L90(高射学校)

40mm自走高射機関砲M42

87式自走高射機関砲|水平実弾射撃M42(高射学校)
87式自走高射機関砲|水平実弾射撃M42(武器学校)

装備品性能詳細

配 備 1987年
価 格 約15億円
全 長 7.99m
全 幅 3.18m
全 高 4.4m(起立時)
全備重量 約38t
最高速度 53km/h
航続距離 約300km
乗 員 3名
搭載機関 三菱10ZF22WT
空冷2サイクルV型10気筒 ターボチャージドディーゼル
出 力 720PS/2200rpm
有効射程 約4km
発射速度 1100発/分(1門550発/分)
武 装 エリコンKDA 90口径35mm機関砲 ×2
開 発 防衛省技術研究本部
(現:防衛装備庁)
製 造
  • 車 体:三菱重工業
  • 砲 塔:日本製鋼所
  • 射撃統制装置:三菱電機

装備品概要解説

87式自走高射機関砲87式自走高射機関砲

40mm自走高射機関砲M42、37mm自走高射機関砲M15A1の後継として1978年から開発が始められ、1987年に制式採用された自走式対空機関砲です。

機甲科部隊に同行して敵航空機から戦車などを守る目的で使用されます。随伴行動できる自走対空砲は低空飛行で侵入してくる戦闘ヘリなどに対して、後方展開する近・短距離地対空誘導弾よりも即応対処能力に優れています。

87式自走高射機関砲は牽引式対空砲として配備されていた35mm二連装高射機関砲L90に装甲を施して、それを装軌式(キャタピラ)の車体に載せた作りになっています。搭載火砲もL90と同系統のエリコン社製の35mm機関砲が搭載されています。ですがL90が高射機関砲2基、射撃統制装置1基、光学目標指定機1基、電源車3両を1システムとして運用されていたことを考えれば、展開時間等も含めてかなりの省力化が行われています。

車体構造

87式自走高射機関砲|実弾射撃実弾射撃

87式自走高射機関砲の構造として、車体は74式戦車をベースに作られています。エンジンも三菱製の空冷10気筒10ZF22WTで油気圧サスペンションなどもそのままに74式戦車のパワーと機動性を継承しています。

車体前部左側に操縦手席があり、その右側には搭載コンピュータに電力を供給するための発電機が備わります。この車体にアルミ合金製の砲塔が搭載され、砲塔内部に射撃手、車長が乗り込みます。砲塔左右両側面に主武装として90口径35mm機関砲(エリコンKDA)を2門搭載しています。また砲塔後部には起倒式の索敵・追随レーダー、射撃統制装置を装備しています。

索敵・追随レーダーや機関砲はコンピューターと連動していて、目標の発見、捕捉、射撃、補正までをリアルタイムで行えます。もし敵補足時にECMなどの電子妨害を受けた場合でも、搭載された赤外線暗視装置や光学センサーなどによる照準射撃で対処可能です。

目標対処能力

87式自走高射機関砲|砲塔後方旋回砲塔後方旋回

35mm機関砲から撃ち出される砲弾は敵航空機への直撃弾のみで、目標直前で炸裂する近接信管弾などはありません。これは耐弾構造になっている戦闘ヘリコプターの装甲を貫いて撃破することをコンセプトにしているためです。

機関砲が搭載される砲塔は全周囲に旋回し、機関砲自体も水平状態から"-5~85度までの俯角(ふかく)"で稼働します。この柔軟な可動域のおかげで対空戦闘はもちろん、地上装甲車両に対しても水平射撃で迎え撃つことができます。ちなみに87式自走高射機関砲の対空射撃訓練が行えるのは、国内で唯一、北海道にある静内対空射撃場のみで、東富士演習場で一般公開もされる富士総合火力演習でも水平状態での射撃しか実施ができません。

近年、航空機等の迎撃には誘導弾(ミサイル)による対処が主流で、陸上自衛隊でも87式自走高射機関砲以外の高射装備は11式短距離地対空誘導弾93式近距離地対空誘導弾などの車載式ミサイル発射機です。自走機関砲の様に砲弾を発射する対空火器は珍しくなってきています。
そんな戦車の様な見た目から"ガンタンク"とも呼ばれたりもする人気のある装備ですが、1両の調達価格が約15億円と非常に高額なため、2004年までに52両の調達に留まっています。

87式自走高射機関砲の配備地域は限定的で、実戦部隊としては北部方面隊(北海道)の第7師団 第7高射特科連隊(静内)第2師団 第2高射特科大隊(旭川)のみに配備されています。

北海道以外では本州の各学校に教育用として配備され、富士学校(富士駐屯地)武器学校(土浦駐屯地)高射学校(下志津駐屯地)で見ることができます。