2014年から退役が始まる81式短距離地対空誘導弾の後継として2005年から東芝によって開発・製造を開始。2011年に調達が開始された最新の短距離地対空誘導弾です。
「短SAM改Ⅱ」として開発が始まったこの装備は、デジタル信号処理装置の採用により81短SAMでは対応できなかった巡航ミサイル・高機動戦闘機・超音速小型ミサイルに対する追跡・補足が可能になりました。
運用方法としては81式短距離地対空誘導弾と基本的に同じで、誘導弾を目標へ向けて発射後、誘導弾自身がレーダー電波を照射して誘導されるアクティブ・レーダー・ホーミング方式で、構成も射撃統制装置1台と発射装置2台からなります。
81短SAMと共通する部分が多いので教育が迅速に行えて、離島防衛なども考慮されているため輸送機や大型ヘリで空輸できる事を前提に開発もされています。
システム運用には新しい高射特科用ネットワーク・対空戦闘指揮統制システム(ADCCS)とリンクして使用され、レーダーにはアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーが採用されています。また、81短SAM(C)にあった光波弾と電波弾は、アクティブ・レーダー誘導の1種類に統一されました。
3t半トラックの荷台部分に発射機が搭載された形で、発射装置は誘導弾を収めた格納容器(キャニスター)を横一列に4本並べた構造になっていて、81短SAMにあった誘導弾の自動装填装置も廃止されました。
まずは教育用として下志津の高射学校に配備され、全国の高射部隊の81短SAMと置き換わる様に配備されていく予定です。
航空自衛隊には81短SAM(改良型のCタイプ)は巡航ミサイルに対処できなかったため配備されませんでしたが、11短SAMは射撃統制装置と誘導弾を高機動車に搭載した「基地防空誘導弾」として採用しています。