OH-6Dの後継として1992年より開発が始まり、開発完了後の2000年から配備が開始された純国産の観測ヘリコプターです。
これまでの自衛隊で運用されてきたヘリとは外観からも大きく異なり、アメリカのRAH-66コマンチに近い見た目になっています。
テイル・ローター部分も特徴的で、これは「ダクテッド・テール・ローター(ダクテッド・ファン)」と呼ばれるもので、ブレードを不等間隔に配置しているため騒音を抑えて、観測ヘリとして有利な隠密性の向上に繋がっています。
このタイプのダクテッド・ファンが使用されている機体は自衛隊だけではなく、東京消防庁のドーファンⅡや警視庁航空隊のヘリにも採用されています。
機体構造エンジンは完全デジタル制御システム(FADEC)が搭載され、メイン・ローターにヒンジレス(無関節)タイプのローターシステムの採用と素材に軽量で強靭なグラスファイバーが使われていることで、宙返りも可能な高い運動性と操縦性が備わっています。
機体の防護性能として座席周辺には被弾に耐える装甲や風防(キャノピー)の防弾化や、二重構造の油圧・操縦系統、強靭な素材のローターなどにより高い生存性を得ています。
また、OH-6Dとは異なり座席はダンデム(縦列)式で、前後にパイロットが搭乗する形式は対戦車ヘリAH-1SコブラやAH-64Dアパッチにも共通します。
この機体幅が1m程と狭い構造によって空力的にも有利で機動性が高く、レーダーでの探知や光学(目視)などによる発見率も低くなり、誘導弾(ミサイル)や機関砲弾等からの被弾率も抑えられます。
観測性能コックピットもアナログから近代的な電子化された複数のカラー液晶を備え、複合電子機器、高度な自動操縦システムなどによる自動ホバリングも可能となっています。
観測ヘリとしての機能としてメイン・ローターマスト下方には可視光カラーTV、赤外線センサー、レーザー測距離装置を一体化した索敵サイトを搭載していて、この探索サイトによって昼夜を問わず探知、認識任務にあたることが可能となっています。
これらの観測装置と合わせて今までの観測ヘリには無かった自衛のための空対空ミサイルを2発内臓したポッドを機体両側に1基ずつ搭載もしています。
OH-6Dに代わる高性能な偵察ヘリですがその分1機20億以上と高価だったこともあり、現在のところ34機(これに試作機4機)で製造は終わっています。
製造された機体はすべて全国の対戦車ヘリコプター隊(第1~5対戦車ヘリ隊)、各方面隊と航空学校に配備されています。