81式自走架柱橋の後継として開発された河川や地峡(2つの陸地を結ぶ狭い土地)に戦車などの重量車両を通過させるための組立式架橋装備。2007年から配備が始まり日立製作所により製造が行われています。
より第1線部隊の行動を容易にするため81式自走架柱橋では通過させられなかった重量50tを超える90式戦車や99式自走155mm榴弾砲などの重車両にも対応しています。
これまでの81式自走架柱橋は通過可能重量が最大42tでした。また架橋の際に河川内などへ架柱(橋脚)を立てなければならなく、河川の流速や深さ、川底状況によって設置に制限がありました。
そこで架柱が不要な"単径間橋タイプ"の架橋装備が必要とされ07式機動支援橋が配備されることになりました。もともと海外にはこのタイプの架橋装備がありましたが、日本の道路交通法に規定されるサイズに合うものが無かったため国内開発されました。
戦車などの単独通行だけではなく車幅が狭い1/2tトラック(73式小型トラック)などの車両であれば対面通行も可能です。
架橋システムについて
架橋システムとして、架設車×1、ビーム運搬車×1、橋節運搬車×4、支援機材車両×5、計11両で1セットを構成。各装置は7tトラック(特大型トラック)をベースにした車両に搭載されています。
架橋システムの運用には1個小隊単位で行われ、本部、機材操作班、作業班で編成。約2時間で1セットの架橋が可能となっています。
架橋作業は自動化されている部分が多く、81式自走架柱橋の半分以下の仕事量で幅4.2m、橋長最大60mの橋が設置可能。通過させられる車両重量も最大60tまで増えています。
茨城県にある施設学校・勝田駐屯地の記念行事では07式機動支援橋の橋節供給や繰り出しなどの動作展示を実施。実際の河川への架橋ではありませんが装置各部位の動きがよくわかる展示になっています。
- 【架橋方法概要】
- 1.架設車が対岸までガイドビームを伸ばす
- 2.アームによって橋節をビーム上に載せていく
- 3.ビーム上に載せた橋節を送る
- 4.次の橋節を載せて繋げて送る
- 5.これを繰り返して対岸まで伸ばし最後に導板を載せて完成
架設車の操縦席に隊員が搭乗してアームを操作。ビームや橋節にあるアーム部アタッチメントの突起を差し込む穴へ操縦席上の隊員が目視により接続します。自動化されていない重機操作を見ると施設科隊員の操縦技術の高さをうかがえます。
他にも架設車のアウトリガー展開やビーム・橋節の連接、繰り出しなどは有線式の携帯操作箱で操作します。