NBC(N(核):Nuclear、B(生物):Biological、C(化学):Chemical)兵器に対処するために開発された装輪式の化学防護装甲車両です。
NBC偵察車が配備されるまでは化学剤・核・放射性物質の対処には「化学防護車」、生物系物質汚染は「生物偵察車」と状況に応じて装備を使い分けなければなりませんでした。そこで合理化をはかるため「化学防護車の防護・機動性 + 生物偵察車の機能」をあわせ持ったNBC偵察車が開発されることになります。
開発は2005年から始まり2010年度予算で1両約7億円で3両調達されました。翌年2011年からは化学科隊員の教育・訓練を行う大宮駐屯地の化学学校、同駐屯地所在部隊のCRF:中央即応集団(現:陸上総隊)隷下の中央特殊武器防護隊に配備されます。現在では第3特殊武器防護隊(千僧駐屯地)、第6特殊武器防護隊(神町駐屯地)など、各師団化学科部隊へ配備が進められています。
車体構造
車体は重量約20tで4軸8輪のコンバットタイヤによって支えられています。化学防護車(装輪)は6輪で全長約6mでしたが、NBC偵察車は検知・分析機材を搭載する車内スペース確保のため8輪で全長が8mにもなります。ですが前方2軸(4輪)がステアリング時に稼働するので化学防護車(装輪)の旋回性能を維持しています。
車体上部には、生物剤検知器や風向計などの検知装置を搭載。自衛のために遠隔操作式の12.7mm重機関銃M2銃座も装備されています。 これは汚染地域で活動する際に潜伏していたテロリストに対して車外に出ることなく対処するための装備です。
車体後部には、不明物質を採取する物質採取用のプロープ(採取用のマジックハンド)があります。化学防護車では同様の場所にマニュピレーター(ロボットアーム)を装備していましたが、操作が難しく小さい覗き窓から物質を採取するのが大変でした。逆にアナログな手動の採取方法に変えた事で効率的な採取作業が行える様になりました。またこの採取部があることで汚染された車外にでなくても検知・観測活動が行えます。
追加装備として、化学防護車にも搭載できた"中性子遮蔽板"もNBC偵察車へ装備できる様になっています。