"88式地対艦誘導弾(88SSM/SSM-1)"の後継として開発された国産の最新式地対艦誘導弾です。2012年から調達が開始され製造は三菱重工業によって行われています。
12式地対艦誘導弾(12SSM/SSM-1改)は、航空自衛隊のF-2支援戦闘機に搭載される80式空対艦誘導弾ASM-1を改良した対艦ミサイルです。これまでの88式地対艦誘導弾はプログラミングされた誘導弾を発射後、慣性誘導により目標まで接近し、レーダー波を照射してミサイルを誘導するアクティブ・レーダー・ホーミング方式でした。
12式地対艦誘導弾では、これに中間誘導として"GPS誘導"が追加されたことで、命中精度が向上しています。もし誘導弾発射後に目標が大きく移動したとしても、GPSによる補正で対応できます。
特に、目標更新能力、識別機能、地形追随能力が改善され、88式地対艦誘導弾が障害物のない開けた場所でしか射撃できなかったのに対して、山陰や谷間などに隠れて撃てる様になりました。これにより敵航空機から発見されるなどの危険性が低下して、誘導弾を操作する隊員の生存性が向上しています。また、発射機への誘導弾再装填時間の短縮も図られています。
12式地対艦誘導弾発射機の車体構造
発射機の構造として、重装輪回収車の車体をベースに荷台部分へ誘導弾が6発入ったコンテナ型の発射機を搭載しています。
外観も88式地対艦誘導弾が筒型だったのに対して、角型の発射機に変更されています。どちらかというと03式中距離地対空誘導弾に近い見た目になっています。
射撃姿勢もより垂直に近い状態になっているので、目標の方向に限定されずに誘導弾を発射できます。まっすぐ撃ち上げれば目標の方向に関係なく、空中で向きを変えて飛翔できます。
発射機の構造として他にも、車体後部に折りたたみ式の防護板が備わっていて、これを射撃時に展開することで誘導弾から出る発射炎から車体を保護できます。
システム構成
システム構成として、誘導弾発射機、射撃統制装置、中継装置、指揮統制装置、捜索評定レーダー装置、弾薬運搬車がシステムの1セットになっています。弾薬運搬車は発射機と同様に重装輪車ベースの車両が使われています。
このシステムの運用上、統合運用が前提に開発されています。これは12式地対艦誘導弾に限ったことではありませんが、各部隊とのネットワーク化も図られています。
まず、2セットが調達されて富士学校・富士教導団に配備。実験・教育が行われています。南西の離島防衛に向けに西部方面隊への配備が優先されると思われます。2016年までに22セットが調達されています。