陸自調査団 陸上自衛隊装備品火砲

155mm榴弾砲 FH70

155mm榴弾砲FH70155mm榴弾砲FH70
155mm榴弾砲FH70|実弾射撃155mm榴弾砲FH70:実弾射撃
155mm榴弾砲FH70|榴弾砲後方榴弾砲後方
155mm榴弾砲FH70|砲弾装填部分砲弾装填部分
155mm榴弾砲FH70|装置部分装置部分
155mm榴弾砲FH70|自走操作部分自走操作部分
155mm榴弾砲FH70|パノラマ眼鏡部分パノラマ眼鏡部分
155mm榴弾砲FH70|砲脚ブレード砲脚ブレード
155mm榴弾砲FH70|駐鋤(スペード)駐鋤(スペード)
155mm榴弾砲FH70|砲脚部車輪砲脚部車輪
155mm榴弾砲FH70|砲身砲身
155mm榴弾砲FH70|マズルブレーキマズルブレーキ
155mm榴弾砲FH70|155mmH砲弾砲弾(模擬)
155mm榴弾砲FH70|155mmH砲弾砲弾(模擬)
155mm榴弾砲FH70|装薬(模擬)装薬(模擬)
155mm榴弾砲FH70|装填器材装填器材
155mm榴弾砲FH70|射撃操作訓練射撃操作訓練
155mm榴弾砲FH70|射撃体勢へ展開射撃展開
155mm榴弾砲FH70|射撃体勢へ展開射撃展開
155mm榴弾砲FH70|射撃準備射撃準備

155mm榴弾砲:掩体壕

155mm榴弾砲FH70|掩体壕掩体壕
155mm榴弾砲FH70|掩体壕掩体壕
155mm榴弾砲FH70|掩体壕内部掩体壕内部
155mm榴弾砲FH70|掩体壕(弾薬)掩体壕(弾薬)

牽引移動時

155mm榴弾砲FH70|牽引による移動牽引移動
155mm榴弾砲FH70|観閲行進観閲行進
155mm榴弾砲FH70|観閲行進観閲行進

APU(自走)走行時

155mm榴弾砲FH70|自走形態自走形態
155mm榴弾砲FH70|自走による移動APU自走
155mm榴弾砲FH70|自走移動自走移動

空砲・実弾射撃

155mm榴弾砲FH70|空砲射撃空砲射撃
155mm榴弾砲FH70|空砲射撃空砲射撃
155mm榴弾砲FH70|空砲射撃空砲射撃
155mm榴弾砲FH70|多砲門空砲射撃空砲射撃(複数砲)
155mm榴弾砲FH70|降雪時射撃降雪時射撃
155mm榴弾砲FH70|多砲門空砲射撃空砲射撃(異砲門)
155mm榴弾砲FH70|実弾射撃実弾射撃
155mm榴弾砲FH70|多砲門実弾射撃実弾射撃

中砲牽引車

155mm榴弾砲FH70|中砲牽引車中砲牽引車
155mm榴弾砲FH70|中砲牽引車(幌付)牽引車(幌付)
155mm榴弾砲FH70|中砲牽引車(隊員乗車)隊員乗車
155mm榴弾砲FH70|中砲牽引車(後方)牽引車(後方)

155mm榴弾砲M1

155mm榴弾砲M1:富士学校富士学校
155mm榴弾砲M1:宇都宮駐屯地宇都宮駐屯地

105mm榴弾砲M2A1

105mm榴弾砲M2A1:富士学校富士学校
105mm榴弾砲M2A1:宇都宮駐屯地宇都宮駐屯地
105mm榴弾砲M2A1:第1特科隊第1特科隊
105mm榴弾砲M2A1:第1特科隊第1特科隊
105mm榴弾砲M2A1:牽引時牽引時
105mm榴弾砲M2A1:空砲展示空砲展示

米海兵隊:155mm榴弾砲M777

155mm榴弾砲M777M777
155mm榴弾砲M777M777

装備品性能詳細

配 備 1983年
価 格 約3億6000万円
口 径 39口径155mm
弾 薬 155mmH
全 長
  • ・約9.8m(牽引時)
  • ・約12.4m(射撃体勢時)
砲身長 約6.02m
全備重量 約9.6t
作動方式 垂直鎖栓式砲尾
給弾方式 半自動装填
砲身寿命 3000発
発射速度 6発/分
有効射程
  • ・通常弾:24km
  • ・噴進弾:30km
初 速 827m/秒
最高速度 16km/h(補助動力による走行)
補助動力 SUBARU 水冷4気筒ガソリンエンジン
操作人員 9名
開 発
  • ・ヴィッカース(英)
  • ・ラインメタル(独)
  • ・OTOメララ(伊)
EU3カ国による共同開発
製 造
  • 砲:日本製鋼所(ライセンス生産)
  • APU:富士重工業(現:SUBARU)

装備品概要解説

155mm榴弾砲FH70155mm榴弾砲FH70

155mm榴弾砲FH70は、1970年代にイギリス、ドイツ(当時の西ドイツ)、イタリアの軍需・重工業メーカーによって共同開発された牽引式榴弾砲です。

FH70」という名称は"Field Howitzer 1970(1970年代開発の野戦榴弾砲)"から付けられた英語略称です。

陸上自衛隊には1983年から155mm榴弾砲M1(58式155mm榴弾砲) 及び 105mm榴弾砲M2A1(58式105mm榴弾砲)の後継として配備が始められました。ちなみに"105mm榴弾砲M2A1"は現在でも北富士駐屯地の第1特科隊で、海外からの国賓来日の際の祝砲として使用されています。

陸上自衛隊に配備されているFH70は、10式戦車などの主砲製造も行っている日本製鋼所によりライセンス生産がされています。また搭載されている補助動力装置を富士重工業(現:SUBARU)が製造しています。SUBARUは自動車メーカーとしてのイメージが強いですが、他にも多用途ヘリUH-1J/H戦闘ヘリAH-64Dアパッチなどの装備品製造にも携わっています。

牽引式火砲として、基本はFH70専用の中砲牽引車によって牽引移動しますが、陣地からの離脱などの際には補助動力装置(APU)による短距離移動を行うことも可能です。

補助動力装置(APU)について

FH70の特徴として、牽引式火砲でありながら短距離移動が行える点があげられます。これは、"APU(Auxiliary Power Unit)"と呼ばれる補助動力によるもので、約16km/hの速度で自走可能な1800ccガソリンエンジンが搭載されています。

この補助動力装置による自走が行えることで、射撃後の陣地転換や迅速な離脱が可能です。敵に射撃位置を特定される前に移動できるので生存性の向上にも繋がっています。

APUはフォルクスワーゲン社により開発されましたが、陸上自衛隊に導入されているFH70にはSUBARU製の水冷4気筒ガソリンエンジンが搭載されています。

FH70の射撃方法

155mm榴弾砲FH70|装備品展示装備品展示

射撃方法として、まず鎖栓を開放して初弾となる砲弾と装薬を手動で装填します。その後、射撃が実施されると鎖栓が自動開放され、砲弾搭載部も同時に持ち上がります。

次弾からはすでに鎖栓が自動開放された状態なので、砲弾と装薬を押し込んで鎖栓を閉じるだけで射撃準備が整います。
この操作を繰り返すこと迅速な連続射撃が行える様になっています。これにより1分間に6発の連続射撃性能を実現しています。

FH70に限らず榴弾砲などの大型の火砲は、射撃時の反動を駐退機と呼ばれる装置で軽減しています。この駐退機だけでは反動を吸収しきれないので、火砲自体が後方へと押し返されてしまいます。そのため榴弾砲の脚(砲脚)の端先には"駐鋤(スペード)"と呼ばれる板が備わっています。これを地面に掘った溝に食い込ませて射撃時の反動を受け止めます。陸上自衛隊最大の火砲でもある"203mm自走榴弾砲"の後方にも大きなスペードが備わっています。

北海道以外の特科部隊に配備されていますが、配備から25年以上経過しているため旧式化が進んでいます。現在では公道移動もできる装輪式(タイヤタイプ)の"装輪式自走榴弾砲"の開発も進められています。