ホークと35mm連装高射機関砲L-90との中間射程に対処する防空装備として、陸上自衛隊が初めて実用化した純国産の地対空ミサイルで、1960年に開発が始まり1981年に制式化されました。
「81短SAM」や「SAM-1」との略称で呼ばれ、3t半トラックへ車載化されているためホークやL-90よりも機動性が向上しています。
3t半トラック後部荷台部分に全周囲旋回式の発射機を搭載して、そこに4発の地対空誘導弾が搭載されています。この発射機の側面には誘導弾を自動で搭載できる、自動装填装置も備わっています。
誘導弾には赤外線パッシブホーミング式が採用され、飛翔中にロックオンができる撃ちっぱなし能力を持っているのが特徴です。
発射機搭載車両とシステムとして共に行動する射撃統制装置には探索用のフェーズド・アレイ・レーダーが搭載され、撃ちっぱなしの赤外線誘導のため発射装置単体でも射撃が行えますが、射撃統制装置のフェーズド・アレイ・レーダーで捜索を行って目標接近後にロックオンした方が射程が延長されます。
また、1995年からは81式短距離地対空誘導弾の改良型となる「C型」が製作され、射程の延長、撃墜率、対妨害性、全天候対応、非発見性の向上が行われています。
師団対空情報処理システム(DADS)とリンクしているので、方向を変えた目標に対しても射撃統制装置によって自動で誘導弾(ミサイル)を修正する指令が送られます。
誘導弾自体も可視光の画像により追尾する「光波弾」と、アクティブ・レーダー誘導の「電波弾」の2種類になりました。
搭載されているロケットモーターの変更により射程も延長され、誘導弾発射時の発射煙も減少しているので発射装置の生存性も向上しています。
発射機本体もレーザー測距機、赤外線前方監視装置(FLIR)、可視光追尾装置を組み合わせて、捜索・追尾できる光波射撃統制装置を備えます。
全国の高射特科部隊へ配備され、航空・海上自衛隊の基地防衛用にも導入されています。
ただし巡航ミサイルへの対処能力までは「C型」には持たせていないでの、航空・海上自衛隊への導入は行われていません。