TH-480BはOH-6Dの後継として新たに採用された練習ヘリコプターです。
陸上自衛隊では1995年の退役までヒューズTH-55Jが練習用ヘリコプターとして使用されていました。TH-55Jの退役後は小型の観測ヘリコプターOH-6Dで操縦訓練を行ってきましたが、OH-6Dも退役が近くなると新しく訓練に使用できる機体の選定が必要になります。そして総合評価落札方式による競争入札により、2010年3月にTH-480Bが採用されました。
機種選定にはTH-480B他にも、練習用ヘリコプターTH-55の現行型"シュワイザー・エアクラフト333M"、観測ヘリコプターOH-6Dの発展型"MD500E"も候補にあがっていました。エンストロム・ヘリコプター社の機体は、これまで陸上自衛隊での運用実績がありませんでしたが、航空機の販売・コンサルなどを行っているエアロファシリティー社のサポートなども採用理由の一つになった様です。
TH-480Bの機体構造と運用
TH-480Bは元々、アメリカ陸軍の訓練用ヘリコプターとして開発され、現在では各国の警察や空軍などでも採用されている機体です。
ENSTROM480Bはキャビン内に5名が搭乗できる機体でしたが、陸上自衛隊に納入されているTH-480Bは前席2名、後席2名の計4名に変更されています。外観も練習ヘリコプターとして視認性を重視しているため、陸上自衛隊の機体としては珍しいブルーでの塗装になっています。
TH-480Bは国内でのライセンス生産は行われず、輸入による一括購入です。
2011年2月に初号機、2012年2月に2号機を納入。2012年3月から28機を一括発注して2015年2月までに全30機が配備されました。
明野駐屯地の航空学校と北宇都宮駐屯地の航空学校宇都宮校に練習機として配備されています。北宇都宮駐屯地では操縦教官により臨時編成される曲技飛行隊も、OH-6Dの"スカイホーネット"からTH-480Bの"ブルーホーネット"に新編成。駐屯地記念行事ではその華麗な演技を目にすることができます。