地対空誘導弾ホーク改の後継として1996年から開発が始まり、2003年に制式化された純国産の低空用中射程地対空誘導弾システムです。
当初は、多国間での共同開発の計画で始まりましたが、日本では武器輸出三原則に抵触する恐れがあったため、日本単独での開発となり純国産の地対空ミサイルシステムが誕生しました。
車体構造として、重装輪回収車をベースとした車両を使用し、後部荷台部分に誘導弾を最大6発収められる格納容器を搭載しています。
これまでのトラックによる牽引式であったホーク改に比べ、各装置が自走式になっているため高い機動性を持ち、陣地変換も迅速に行えるため敵の反撃前に離脱可能な生存性も高くなっています。
射撃・誘導
射撃方法として、まず誘導弾発射準備で格納容器を垂直に立てます。垂直に発射された誘導弾(ミサイル)は上空で目標の方向へ向けて転換して飛翔していきます。
ホーク改もそうでしたが、射撃方向が限定される誘導弾発射機に比べて垂直に発射できることで、射撃目標の方向に左右されず射撃できます。
ミサイルの誘導方法としては、誘導弾発射時はまず指令誘導とプログラムにより誘導。その後、目標到達寸前にアクティブ・レーダー・ホーミングで誘導され撃破します。
このアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダの採用により、全周囲交戦性能と同時多目標対処能力を持つことになりました。これはイージス艦の対空戦闘システムと同様のレーダー方式による装備になっています。
また、デジタルマップ目標経路予測機能により、超低空から飛来する巡航ミサイルにも対応する能力を備えています。
射程以外の性能は弾道ミサイル対処などに使用される、ペトリオット以上とも言われています。
実際に射撃訓練を行う場合には射程が50kmにもなるため、なかなか国内での実射は難しく、毎年、アメリカの演習場に運搬して持ち込み訓練を行っています。
システム構成
ミサイルシステムの構成として、誘導弾発射装置車、索敵・射撃用レーダー装置車、射撃統制装置車・幹線無線中継装置車、幹線無線伝送装置車、レーダー信号処理・電源車、誘導弾運搬・装填装置車。
これらを1システムとして1個高射特科群、1個高射特科群は4個高射中隊から構成されています。
現在では、本州を中心とした高射特科群、高射特科中隊などに配備が進められ、より性能を向上させた「03式中距離地対空誘導弾(改)」が開発されています。