67式戦車橋の後継として配備された戦車や自走砲などに随伴して、河川や地峡に橋を掛けて部隊を通過させる自走式架橋装備。1985年から開発が始まり1991年に制式採用されました。
これまでの67式戦車橋では最大通過荷重が40tのため、61式戦車や74式戦車には対応できていました。しかし新たに配備された重量50tを超える90式戦車や99式自走155mm榴弾砲には対応できなくなりました。
そこで90式戦車を含む最大60tまでの車両を通過させられる91式戦車橋が開発されることになります。
91式戦車橋は乗員が搭乗する車体部分を含めて装甲化されているので、銃弾や砲弾片が飛び交う戦闘地域でも迅速に架橋が行える機動力を持っています。
車体構造
車体構造として、エンジンやサスペンションなど74式戦車をベースとした車体を流用。その戦車の砲塔があった車体上部にスライド式の橋体(車両が通過する橋となるプレート部分)を搭載した構造になっています。
車体前部には橋体を送り出すジブアーム、車体前面下部に橋体展開時の転倒を防ぐアウトリガーを搭載。さらに展開時の安全確認のために後方には監視カメラが設置されています。また自衛用に4連装の発煙弾発射機(スモークディスチャージャー)も2基装備されています。
橋本体の性能としては、橋梁幅4m、橋梁全長20m、傾斜角±15度、18mまでの河川や窪地に架橋する能力を持っています。架設時間は約5分で、撤収も10分程で行うことが可能です。
2009年までに20両が調達され、第7施設大隊や第2師団第2施設大隊など実戦部隊としては北部方面隊(北海道)の施設科部隊にすべて配備されています。本州では富士学校・富士教導団で見ることができます。