10式戦車の配備に合わせて開発され、2011年から調達が開始された78式戦車回収車の後継となる回収車です。
50tを超える90式戦車以下の重量の装軌車両を回収する目的で開発されているため、戦車に限定しない回収作業を考慮したことで「装軌車回収車」という名称になっています。
10式戦車の車体をベースに砲塔部分を取り外して、クレーンやウィンチ等の回収装置を搭載しています。
そのため10式戦車同様に履帯(キャタピラ)部分は鋼製のサイドスカートで守られています。
また車両回収装置などは90式戦車回収車と同様の配置になっています。
11式・90式ともに実に良く似ているため、部分的には異なりますが初めて見る方は判別しずらいかもしれません。
回収性能としては、ウィンチの牽引能力が約45t、クレーンの吊り上げ能力約23tで、78式戦車回収車よりは向上していますが90式戦車回収車には劣る性能です。
これは10式戦車が90式戦車より軽量化されたことで、この性能でも回収作業が十分に問題なく行えます。
自衛火器としてこれまでの回収車と同じ12.7mm重機関銃M2を車上に搭載して、乗員室前部に発煙弾発射機が設置されています。
行動不能になった戦車の修理・回収が目的のため、これまでは戦車を運用する機甲科部隊が装備していました。
近年では「戦車直接支援隊」が創設されて、こちらで戦車(装軌車)回収車の運用や回収された車両の整備を行っています。