不整地走破に優れた履帯(キャタピラ)車両よりも舗装路の整備された日本では、装輪式(タイヤタイプ)の装備品の方が都市部などでの活動が効果的です。
近年では装輪タイプの車両が多くなり、96式装輪装甲車や87式偵察警戒車など大型で重量のある装備品が増えてきています。これらの重量のある装輪車を整備・回収するためには重レッカなどでは対応できなくなってきました。
そのため2002年から陸上自衛隊最大の装輪式整備車両として、重装輪回収車の配備が開始されました。
装輪車両の整備支援専用車両として開発されたこの装備は8輪の車体に支えられた大型トラックで、8輪全てが駆動する8WDになっています。
回収・整備能力として車両後方の荷台部分には12tの吊り上げ能力を持つクレーンと、15tの牽引能力のウインチを1基ずつ搭載しています。
この車体をベースとした装備品も多く、03式中距離地対空誘導弾や12式地対艦誘導弾などの大型の装輪タイプ装備にも使われています。
中距離多目的誘導弾や93式近距離地対空誘導弾などの様に、高機動車をベースとした装備品が多いのと同様で、新たなベース車両を開発するよりも期間やコストを抑えられる目的もあります。
今後も開発が進められてる装輪式自走榴弾砲など、様々な重車両のベースとなってくるでしょう。
北部方面隊へ優先的に配備されていますが、装輪式車両が多く配備される様になったことから各後方支援部隊などでも目にする機会が増えてきています。