11.4mm短機関銃M3(グリースガン)の後継として1999年から配備が始まった国産の機関拳銃。ミネベア(現:ミネベアミツミ)によって開発・製造されています。これまで使用されていた11.4mm短機関銃M3は戦後にアメリカから供与されたものです。
機関拳銃は拳銃の弾を連射できる様にした自衛用火器で"マシン・ピストル"や"サブマシンガン"と呼ばれるものです。狙いを定めて弾丸を命中させる精度よりも多数の弾をバラ散いて敵を牽制する目的に使用されます。そのため集弾性はとても低く、光学照準器も装着できないので目標に狙いを定めて射撃するなどコントロールが難しい銃になっています。
特徴として本体に鋼製の削り出し加工部品が多く使用され、グリップなどには樹脂素材を使用していることがあげられます。見た目はどちらかというと11.4mm短機関銃よりもイスラエル製のサブマシンガン"UZI(ウージー)"に近い外観です。
銃の構造
銃の構造として、本体に空薬莢を排出するための角型スライドが取り付けられ、このスライドの小型化で連射速度が向上しています。
銃床はなく射撃時の反動を握力のみで保持し続けなくてはなりません。ですが銃前部下方にフォアグリップが設けられているおかげで両手でしっかり構えての射撃ができ、射撃時の反動で銃口部が跳ね上がるのを防げます。
使用弾薬には9mm拳銃と共通のものが使用可能。引き金と接続されたグリップ部に25発入り弾倉を装填します。射撃方法は単発(セミオート)と速射(フルオート)との切り替えができます。
使用目的として、空挺部隊指揮官、榴弾砲などの重火器操作手、戦車搭乗員などが携行する自衛用火器としての配備が考えられていました。しかし1丁約40万円するなど調達価格が高いなどの理由から生産数が少なく一部の指揮官への配備に留まっています。
主な配備部隊としては第1空挺団(習志野)、第12旅団(相馬原)、西部方面普通科連隊など。配備が考えられていた機甲科部隊の戦車乗りなどには11.4mm短機関銃の代わりに"銃床折り曲げ式の89式5.56mm小銃などが使われています。
陸上自衛隊以外にも、航空自衛隊の基地警備用、海上自衛隊の不審船対策装備としても配備されています。