60式自走107mm迫撃砲の後継として1996年に正式採用された装軌式(キャタピラ)の自走迫撃砲です。
107mm迫撃砲M2が120mm迫撃砲RTへと更新されるのと、60式装甲車の退役に合わせて開発されることになります。60式自走81mm迫撃砲という自走迫撃砲も同時期に配備されていましたが後継機は開発されていません。ちなみに"ゴッドハンマー"という愛称も付けられています。
搭載火砲の120mm迫撃砲RTはフランスのトムソン・ブランツ社で開発されたものを、豊和工業によりライセンス生産が行われています。火砲を搭載する車両部分は日立製作所により製作され、92式地雷原処理車をベースに作られています。
この既存装備の流用により1994年から開発を始めたのにも関わらず1995年に試作車が完成。翌年1996年には正式採用されるスピード感のある開発ができています。エンジンは87式砲側弾薬車と同じ水冷8気筒の8V-71Tデトロイト・ディーゼルを搭載。87式砲側弾薬車も92式地雷原処理車と同様に73式牽引車をベースに開発された装備です。
96式自走120mm迫撃砲の車体構造
96式自走120mm迫撃砲の構造として、車体前部左側にエンジン、その右側が操縦席、操縦席後ろに車長席が設けられ、車体後方には主武装の120mm迫撃砲RTが搭載されています。
牽引式だった120mm迫撃砲RTは車輪付きの下部台車を上下に可動する架台に変更。これを左右45度で動く回転台の上に載せています。
砲身、操作部、照準器などはそのまま使われ、射撃性能などは牽引式の120mm迫撃砲RTと同じになっています。
走行時などは迫撃砲が収まる戦闘室上部と後方はハッチで閉められていますが、砲身部分は飛び出した状態です。戦闘時にはこの上部と後方の折りたたみ式ハッチを開放して射撃を実施します。
この戦闘室左右側面には砲弾を50発まで格納でき、迫撃砲を操作する隊員も2名搭乗できます。主武装の以外にも自衛用として車長室上部に12.7mm重機関銃M2を搭載できる銃座も備わっています。
生産は2002年までに24両で終了していて、配備は陸上自衛隊で唯一の機甲師団がある、北部方面隊(北海道)の第7師団 第11普通科連隊重迫撃砲中隊が全数を装備しています。