山岳レンジャーの勇姿を披露！
松本駐屯地創設72周年記念行事イベントレポート

2022年10月29日(土)に、長野県 松本市にある陸上自衛隊 松本駐屯地で「松本駐屯地 創設72周年記念行事」が、3年ぶりに駐屯地を一般開放して開催されました。
松本駐屯地には、南アルプスの山岳で厳しい訓練を行う、山岳レンジャー（通称：アルペンレンジャー）が所在しています。
→「松本駐屯地創設72周年記念行事」のイベント情報はこちら

開門は9:00でしたが、7:30頃にはすでに30名程が入門待ちをされていました。
南松本駅から徒歩で約20分で来場できる距離ですが、当日は、松本駅、南松本駅からシャトルバスも運行されました。

開門後、手荷物検査はありませんでしたが、検温を行って入門。
入ってすぐの場所に、長野地方協力本部 の広報ブースを発見！
長野地本キャラの「なのちゃん」に迎えられました。

入門後に手荷物検査はありませんでしたが、式典会場のグラウンド前でセキュリティーチェックを実施。
装備品展示や体験イベントが目的など、式典会場までは行かない方は手荷物検査がいらないので、入場時の混雑緩和になる対応だと思います。
混雑緩和で感染対策にもなっているのではないでしょうか。

10:00から記念式典が開始。
会場には、駐屯部隊の第13普通科連隊、第306施設隊、第102施設直接支援隊などが整列しています。

例年ですと、松本駐屯地の記念行事は４～５月頃に実施されています。
その時期ですと、南アルプスの山々に積雪が見られるのですが、１０月下旬ですとまだ雪の姿はありませんでした。
雪化粧をした南アルプスとの部隊との写真が撮れるのも、松本駐屯地の魅力でもあるのですが・・。

駐屯地司令による巡閲、祝辞、祝電披露などが実施。
今回は、会場に黒服のSPが多いなと思っていましたが、来賓が豪華でした。

祝辞は、駐屯地司令に始まり、長野県知事代理、松本市市長。
交代されたばかりの、経済再生担当大臣「後藤茂之大臣」。
国会議員も、ヒゲの隊長こと「佐藤正久」参議院議員。
他にも、衆議院議員の方々が３名祝辞を述べられました。

なので、この時点で式典はかなりの時間、押しています。

式典後、駐屯部隊等による「観閲行進」が実施。
行進の始めに1/2ｔトラックに乗った長野県旗が行進。長野の「ナ」がデザインされています。
続いて、82式指揮通信車に搭乗された部隊指揮官が行進します。

第13普通科連隊の第1～第3中隊の車両が行進。
普通科部隊の主力車両「軽装甲機動車」
後部に、110mm個人携行対戦車弾などを携行した「高機動車」

災害派遣時の炊き出しにも活躍する3t半トラック牽引の「野外炊具1号(改)」
敵部隊への機動力を活かした偵察や災害時の情報収集などを行う「偵察用オートバイ」

第13普通科連隊本部管理中隊の行進。
高機動車に牽引された普通科部隊最大火力の「120mm迫撃砲RT」
戦車や装甲車だけではなく、上陸する舟艇などにも対処できる「中距離多目的誘導弾」

3t半トラックに搭載された「小型ショベル」
第306施設隊が装備するタイヤタイプのブルドーザー「バケットローダー」

宇都宮駐屯地に所在する、第12特科隊が装備する「155mm榴弾砲FH70」
相馬原駐屯地の第12高射特科隊の「93式近距離地対空誘導弾」

ここではすべて紹介できませんが、他にも様々な車両が行進を行いました。

車両に続いて、山岳レンジャーが行進。
今回は、緑迷彩でしたが、スキーを背負った白色の冬季迷彩で行進してくれる時もあります。

最後に、第12ヘリコプター隊の「多用途ヘリUH-60JA」「大型輸送ヘリCH-47JA」が祝賀飛行を実施しました。

両ヘリコプターは模擬戦闘訓練展示でも大活躍します。

観閲行進後、アトラクションが実施されました。

松本蟻ヶ崎高等学校書道部による書道パフォーマンス。
全国大会の常連でもある高校で、テレビでも紹介される有名な書道部です。
パフォーマンスの仕上げの一筆を駐屯地司令に行ってもらっていました。

松本駐屯地の松本アルプス太鼓、滝ヶ原駐屯地の滝ヶ原雲海太鼓による迫力ある自衛太鼓演舞も見られました。

アトラクションの最後は「松本鉄砲隊」による火縄銃演武です。
火縄銃の空砲射撃なんて見られる機会はなかなかないので、とても楽しみでした。

松本城の庭園などでも演技をされる方々だそうで、長物だけでなく単筒など様々な火縄銃を持ってきてくれました。

前装填式の火縄銃は、射撃までに時間が掛かります。
その一連の動作、火薬等装填、火縄、射撃までの動き。
鉄砲大将というのでしょうか、指揮者による「火縄を付け」「火蓋を切れ」「構え」「放て！」の号令により射撃が行われます。

横一列に並んでいるには、足軽が前進してくるのに対処する対抗射撃の様子です。
鉄砲の弾丸による威力とあわせて、大砲の様な発射音で威嚇にもなっているのがよくわかります。

他にも、信長が使ったとされる三段撃ちなども実演していただけました。

松本城で実演される際は、是非、行って見てみたいです。

様々なアトラクション、祝辞の豪華さにより、訓練展示まで、かなり時間が押しています。
12時近くになってから模擬戦闘訓練展示が開始されました。

【状況開始！】

敵情を探るため、偵察用オートバイによる地上偵察を実施。
平地だけでなく、グラウンド内の丘や凸凹した荒れ地も走行。実際の森林や山の中を想定して行動展示が行われています。

偵察行動中、敵からの攻撃を受け、オートバイを盾にして小銃で反撃。
敵の戦力詳細を把握するため、上空偵察に切り替えます。
地上偵察部隊はここで離脱します。

無人の偵察用ドローンを飛行させて敵状を探ります。
上空からのカメラ映像から、敵の詳しい武装などを偵察して部隊投入を検討します。

上空偵察から、敵の指揮官を発見。
スナイパーに隠密射撃を実施させます。
デザートカラーの対人狙撃銃により、敵指揮官を狙撃。無力化に成功しました。

続いて、普通科部隊の投入前に、特科部隊による支援射撃が実施されます。
自走により、第12特科隊の155mm榴弾砲FH70が進入。
火砲の展開後、榴弾砲による支援射撃が実施されました。

支援射撃に続き、航空機による部隊投入を実施。
多用途ヘリコプターUH-60JAが飛来。

リペリング降下ではなく、地上近くでホバリングする機体から隊員が飛び降りて地上へ。
ロープ降下よりも迅速に部隊投入する際に行う方法です。

地上まで近づいた航空機は敵に狙われやすいので、迅速に離脱します。
隊員を降ろして急速離脱しました。

訓練ということで、リペリング降下も実施してくれました。
大型輸送ヘリコプターCH-47JAが飛来。
地上約10mの高さでホバリング。ここから隊員を降下させます。

後部ハッチから2名の隊員が同時に降下。レンジャー隊員のリペリング降下が開始されました。

次々と隊員が降下していきます。

今回、女性隊員も1名降下されています。
普通科の中でも重迫撃砲中隊などで女性隊員を見たことはありますが、レンジャー隊員では初めてです。

護衛艦の艦長、戦闘機のパイロット、レンジャー隊員など、厳しい環境・状況下での女性の活躍は頼もしいです。

降下した隊員は地上へ展開。小銃で対処しながら前進します。

小銃小隊の前進を援護するため、迫撃砲による支援も実施。
120mm迫撃砲RT、81mm迫撃砲L16がそれぞれ後方に射撃展開しました。

敵は重機関銃搭載の装甲車両も装備しています。
装甲車両を無力化するため、中距離多目的誘導弾も展開。
対空警戒として、中多の後方には93式近距離地対空誘導弾も展開しています。

中距離多目的誘導弾による射撃！敵装甲車両が撃破されました。
これでより小銃小隊の前進がしやすくなりました。

主力の装甲車化部隊を投入！
第13普通科連隊の主装備でもある、武装した軽装甲機動車が進入してきました。
車上の銃座には、5.56mm機関銃MINIMIが搭載され、隊員が警戒しています。

対装甲警戒として、車上で01式軽対戦車誘導弾を携行した隊員もいます。
装甲車だけではなく、戦車などの戦闘車両も撃破可能な個人携行ミサイルです。

特科部隊の突撃支援射撃が開始されました。
特科の支援のもと、武装した車両部隊が前進を開始しました。

車両を盾にしながら前進する隊員。
後方から援護射撃しながら進む隊員など。
後方の隊員が携行している、89式5.56mm小銃にはスコープが取り付けられていて、なかなかレアな感じです。

軽装甲機動車を先頭に、部隊の突撃を実施。
残存戦力を一掃するため、敵陣地の奥まで部隊が突き進みます。

【状況終わり！】

訓練展示終了後、撤収される部隊の隊員の方からお手振りもいただきました。
このあと、グラウンドは高機動車の体験試乗会場として使用されます。

駐屯地内では、まだまだイベントが実施されます。
本部隊舎前では、式典アトラクションとは異なる「塩尻志学館高等学校書道部」による書道パフォーマンスを実施。みんな青春しているな～って感じて良かったですよ。

第12音楽隊による音楽演奏も実施。
秋の童謡メドレー、ONE PIECE FILM RED「新時代」など、多彩で楽しい曲目で演奏していただけました。

最後のアトラクションとして「レンジャー訓練展示」が実施。
隊舎の屋上から地上までを使って、様々な降下要領を展示します。

まずは、基本的なロープでの壁面上昇を実施。
ロープ一本で専用器具を使い、壁を登っていきます。
垂直な岩山などを登ったり降下する際に必要な技術です。

続いて、建屋を不審者が占拠した想定での突入訓練です。
建屋内に拳銃を持った不審者が立て籠もっています。

ヘリコプターで建屋屋上に進入した想定で展開。
2名の隊員が降下して地上警戒を行います。

次に、突入部隊を援護する隊員が降下。

体を反転させて、突入する窓の上方で警戒。
拳銃を構えていつでも援護射撃が行える体勢を整えます。

突入部隊が屋上から一気に降下！
窓をブチ破り、建屋内に進入。不審者を取り押さえて制圧完了です。

負傷者の搬送要領の展示です。
担架などで搬送できない状況下では、仲間の隊員等を背負って下山します。

負傷者役は人形ではなく、実施に人を背負って実施しています。
自分と同じか、無意識状態だとそれ以上の体重の人を背負って降りなくてはいけません。
厳しい訓練を実施しているレンジャー隊員だからできる搬送方法です。

壁に垂直に立っていますね。
小銃を携行して壁を一気に駆け下りる展示です。
屋上から進入して警戒しながら迅速に降下する際などに行います。

最後に、松本レンジャー訓練の名物！
ロープを滑り降りて横断幕を展張してフィニッシュです。

「松本駐屯地創立記念 祝！レンジャー訓練展示」
素晴らしいレンジャー訓練展示をありがとうございました。

会場内では、装備品展示も実施されています。
81式短距離地対空誘導弾などの動的展示も実施。
小銃から装甲車、誘導弾、火砲、航空機など、様々な装備品が見学できました。

訓練展示でも活躍したドローンも展示されています。
アメリカ製で米軍向けに開発された「高所監視用ドローンⅡ型」です。

個人的には「70式地雷原爆破装置」の展示気になりました。
新しい装備ではありませんが、実施の投射時に近い状況で展示してくれています。
本体を地面に固定して、爆索とは別にガイドロープも固定するなど。
実際は投射用の塹壕も構築しないといけないそうなので、投射までが大変です。

以上で、松本駐屯地創設72周年記念行事のイベントレポートでした。