群馬県 高崎市に所在する陸上自衛隊 新町駐屯地で、創設68周年記念行事が実施されました。高崎市の第29回しんまち桜まつりと2日間の同日開催で、記念式典は6日(土)のみおこなわれます。
第12対戦車中隊、第12施設隊、第12後方支援隊などの部隊が駐屯し、第12旅団隷下の部隊も訓練展示や装備品展示へ支援に駆けつけています。ヘリや火砲なども参加して迫力ある展示が実施されます。
スライド画像にある満開のサクラと写るM24軽戦車と61式戦車は、新町駐屯地資料館前にある屋外装備品展示品で、他にも74式戦車、UH-1、バートル、そして被災した軽装甲機動車も見学いただけます。
第29回しんまち桜まつりの会場は、閉門されている西門周辺の桜並木周辺を桜まつりエリアとして開放。地元のグルメや野菜などの売店がたくさん並び、お花見しながら食べ歩きなども楽しめます。
桜まつりの会場には野外ステージもつくられ、4月6日(土)には、地元中学校吹奏楽部演奏。7日(日)はダンスサークル、チアリーディング、ドッグパフォーマンスショーも開催されます。
観閲式・観閲行進
駐屯地開門は 8:00からで、式典が開始されるまで売店や駐屯地内を見学。そして10:00になって式典会場のグラウンドで記念行事・観閲式が開始されます。
式典前の9:30ころより各部隊が入場。最初に相馬原駐屯地から音楽演奏に参加する第12音楽隊。演奏にあわせて新町駐屯地の部隊が進入してきます。
式典会場に駐屯部隊が整列。各部隊長と観閲指揮官も整列し、観閲式執行者の入場を待ちます。そして黒塗りの車両で執行者である駐屯地司令が入場され観閲式開始。駐屯地司令が登壇して音楽隊演奏による栄誉礼が行われます。
国旗も1/2tトラック(73式小型トラック)に搭乗して入場。登壇した国旗へ来場者全員起立して注目。国歌吹奏が行われます。登壇した国旗と会場周辺のサクラがとても美しくて素晴らしかったです。
駐屯地司令による巡閲。1/2tトラックに搭乗した司令が駐屯する各部隊を確認してまわります。
新町駐屯地では、確認できた感じですと駐屯地司令だけが新制服でした。第12音楽隊も新制服になっていたいました。
観閲式では、巡閲後に祝辞が行われます。まず、駐屯地司令による祝辞。続いて衆議院議員、群馬県知事代理 危機管理官、高崎市長代理と続きます。祝電披露、招待来場者紹介、感謝状授与などが行われてます。
観閲式後半には「観閲行進」を実施。部隊後方に並んでいた車両へと隊員達が搭乗してエンジンスタート。第12音楽隊のマーチングを先頭に行進開始です。
駐屯部隊の第12対戦車中隊、第12施設隊、第12後方支援隊などの車両が行進。こちらは第12後方支援隊の「重レッカ」。訓練展示での車両回収や装備品展示でも珍しい吊り上げ展示を行ってくれました。支援車両ということで、あまり目立たない存在ですが無くてはならない車両です。
こちらは「7tトラック」です。陸上自衛隊の中でも最大クラスの大型輸送車両で、今回の一般公開での体験試乗は、高機動車とあわせて7tトラックでの試乗も行われました。
第12施設隊の07式機動支援橋。行進ではブーム運搬車や橋節運搬車だけが行進していましたが橋を組み立てる架設車もあります。
新しい装備ということで新町には1セットが配備されているため、装備品展示ですでに会場端に展開している架設車は行進していません。
戦闘訓練展示
駐屯部隊と第12旅団隷下部隊が参加してグラウンドを会場に模擬戦闘訓練展示が開始されました。
状況開始!!
重火力により武装した敵部隊を制圧する想定で実施。まず航空偵察として会場上空に観測ヘリコプター OH-6Dが状況確認開始。通称:オスカーと呼ばれる「空飛ぶタマゴ」で世界的に有名なヘリです。退役が近いので本展示に参加してもらえて嬉しいです。
上空から敵部隊の状況を確認した後、より詳しい戦力を調べるために地上偵察実施。高速で会場へ偵察用オートバイが進入。地形を選ばずに機動力を活かした偵察が行えるためジャンプもお手の物です。うしろのサクラとオートバイが映えて美しい。
2両進入してきたオートバイは敵部隊の重機関による攻撃を受けます。オートバイを盾にして小銃で応戦。その間も敵の戦力などを状況確認しています。作戦本部へ攻撃を受けている旨を伝え偵察隊員は離脱。次なる部隊投入が行われます。
敵部隊の状況確認後、厳しい訓練を積んだレンジャー隊員が投入されます。敵陣地奥へと侵入させるため多用途ヘリ UH-60JAが飛来。機体からレンジャー隊員がリペリング降下を実施。機内から2名の隊員が降下を開始しました。
UH-60JAからのレンジャー隊員が降下。降下後に地上へと展開したレンジャー隊員は敵情を探るために隠密に前進を開始しました。
レンジャーた委員の前進と続いて投入される部隊の援護のため上空に対戦車ヘリ AH-1Sコブラが進入。上空より地上部隊への航空支援開始。機種下部に搭載されている20mm機関砲により支援射撃が行われています。
3銃身20mm機関砲はガンナーのヘルメットと連動して射撃方向を向く様になっています。他にも70mmロケットやTOW対戦車ミサイルも搭載できるタンクキラーです。
地上では前進する小銃小隊を支援するため火砲が進入。野戦特科の155mm榴弾砲FH-70が自走で進入。搭載されているAPUと呼ばれる補助動力で短距離を走行できます。今回は宇都宮屯地から第12特科隊が支援参加しています。
自走で進入してきた155mm榴弾砲FH-70が射撃準備を開始。基本は操作人員が9名で行われますが、訓練展示によってはそれより少ない人数で実施することもあります。地面に砲をおろして砲脚を広げ、砲身を回転させて準備します。
こちらは高機動車により牽引して進入してきた120mm迫撃砲RT。普通科部隊最大の火砲で通常弾でも約8kmもの有効射程がある支援火器です。砲前方から砲弾を投入して撃ち出し、装甲車への攻撃が可能な対戦車迫撃砲弾も使用できます。
新町駐屯地に駐屯する第12対戦車中隊が装備する79式対舟艇対戦車誘導弾。1/2tトラック(73式小型トラック)に装置一式を搭載専用したトレーラーを牽引して進入。発射装置を組み立て射撃準備を行います。
赤外線と有線誘導による撃ちっぱなし射撃ができない旧式の誘導弾(ミサイル)ですが、89式装甲戦闘車にも搭載されている未だ現役の装備です。
火力支援の準備が行われている中、高機動車に武装した隊員達が搭乗して進入。速やかに高機動車から降車して下車戦闘の準備を開始。各隊員がお互いを援護しながら展開していきます。
軽装甲機動車 通称:LAVも会場に進入。車内から隊員が降車。それを援護するためLAV上部ハッチに搭載された5.56mm機関銃MINIMIで援護射撃が行われています。
展開した隊員達はそれぞれ射撃しながら前進。89式5.56mm小銃を携行した隊員を後方から5.56mm機関銃MINIMIで支援射撃。
機関銃は小銃よりも射程と連射性能にすぐれ、小銃隊員を援護しながら前進を支援する役割があります。
攻撃前進の中、敵の攻撃により隊員1名と車両1台が被弾。負傷した隊員を近くの隊員がすぐに救助に駆けつけます。LAV後方に移動させて応急処置を施します。前線でも活動できる1t半救急車が会場に進入。負傷者を車内へ搬送します。軽症だったため2名で支えて搬送しましたが、重症で自力で歩けない場合は担架により運びます。
救急車への搬送の間も敵の攻撃は継続。負傷者援護に人手が割かれるため敵にとってはチャンスでもあります。そのため周囲の隊員達は搬送完了まで救急車の援護を続けます。それでも仲間を見捨てることは絶対にありません。ちなみにこの新型の1t半救急車は高機動車の車体をベースに作られ機動性と走破性を確保しています。
こちらは軽装甲機動車に搭載されている5.56mm機関銃MINIMIです。専用の銃座に搭載され、前部には防弾板もついています。
軽装甲機動車が走行しながらMINIMIを射撃したり、隊員達の盾となる拠点としての火力支援にもなる活躍します。LAVの上部ハッチからは他にも01式軽対戦車誘導弾が射撃可能で、富士の総合火力演習でその姿を見ることができます。
1名の隊員が負傷した以外にも敵の攻撃で高機動車が走行不能に。この車両を重レッカにより回収作業を実施します。重レッカに搭載されているクレーンでも回収を行いますが、今回は車体にナイロンロープでの牽引により整備場所へと持っていきます。
伏せた状態での小銃射撃。匍匐(ほふく)ではなく駆け足で前進しますが身を隠す場所がな開けた地域では伏せて射撃を行い前進するを繰り返してます。
今回の訓練展示では新潟県の高田駐屯地から第2普通科連隊が支援参加しています。
先程、敵の攻撃で走行不能になった高機動車に乗っていた隊員は重症をおっていました。負傷者の状況により緊急性の高い場合は、迅速に搬送するため航空機で搬送輸送する場合もあります。のため航空機での緊急搬送が必要と判断。多用途ヘリ UH-60JAが飛来。ヘリでの搬送が実施されます。搭載されているホイストにより吊り上げて機内へ搬入します。
ヘリからホイストで隊員が降下。降下した隊員が負傷者を抱えて吊り上げていきます。機内へと負傷者を搬入して医療施設へと搬送されていきました。
攻撃を仕掛けてくる敵陣地には12.7mm重機関銃 M2を主力とした機関銃陣地が構築。ここから攻撃が実施されています。機関銃援護の小銃などもいて制圧に苦戦するトーチカです。
新町駐屯地の訓練展示では、この重機関銃陣地がよく登場して敵部隊の主力として頑張っています。
重機関銃陣地とは別に新手の敵装甲車が敵陣地に登場。25mm機関砲搭載の87式偵察警戒車が戦力として加わり部隊の前進を阻みます。小銃小隊への被害が拡大する前に無力化する必要があります。装甲車を撃破するため支援を要請。
79式対舟艇対戦車誘導弾とあわせて、最新の中距離多目的誘導弾も戦闘に参加。この2種類の誘導弾(ミサイル)の攻撃により敵装甲車が撃破されました。
中距離多目的誘導弾は高機動車にランチャーが搭載された自走式の発射機で、赤外線とセミアクティブ誘導が行え撃ちっぱなし射撃が可能。6発搭載できる発射装置からは連続した射撃が行えます。
携帯障害処理器材を地上に設置して障害処理を実施。70式地雷原爆破装置よりも少ない人数で効率的に地雷を無力化できる個人携行の処理器材です。
部隊が敵陣地へ突撃するにあたり、最後の射撃として155mm榴弾砲FH-70による突撃支援射撃が実施されます。この射撃にあわせて小銃小隊が一気に敵陣地を制圧します。
装備品展示等
珍しい画期的な装備品展示の方法。重レッカにより高機動車を吊り上げて展示されています。装備品の能力を目で見て分かる様にしてくれるのは、自衛隊に詳しくない方にも優しい展示方法だと思います。
07式機動支援橋は隊員の方が橋節を架設車で持ち上げる動作展示を繰り返し実施してくれました。
高機動車や大型トラック(7t)の体験試乗も行われ、多くの方々が楽しまれていました。時間いっぱいまで装備品が実施され、閉門間際には装備品の撤収の様子も見学できました。
以上、2019年の新町駐屯地記念行事及び高崎市さくらまつりでした。
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