陸上自衛隊吉井分屯地 開設61周年記念行事
【不発弾処理訓練展示】
実施日時:2016年4月10日(日)
実施場所:陸上自衛隊 吉井分屯地(群馬県 高崎市)
今回、吉井分屯地に来た目的の、「第102不発弾処理隊による不発弾処理訓練展示」が始まります。
すでに覆いにより隠され会場に準備されていた模擬不発弾が姿を現しました。模擬だと分かっていても、この大きさの爆弾が置いてあると、迫力があります。積み重ねられた土嚢の上に、不発弾が鎮座しています。
状況開始! 不発弾発見の通報を受けて第102不発弾処理隊が緊急走行で到着しました。1/2tトラックに4名の隊員が乗車しています。
不発弾処理隊隊長が各員に作業指示を出します。
まずは、この不発弾が何かを特定する所から始めます。隊員の調査により、この不発弾は「戦時中投下された米軍の500Kg爆弾」と判明。
不発弾の特定が完了して車両から器材を持ってきます。不発弾の無害化に必用な器具を準備します。
器具の中には金属製のリング状の物が確認できます。これは「ロケットレンチ」と呼ばれる器具で、起爆の衝撃により、信管を回転させて外します。潤滑剤を注入しながら少しずつ回し外す方法は行いません。
信管(爆弾が爆発するための点火スイッチ)を取り外して不発弾を無害化します。
信管に器具を取り付けるのと同時に爆薬に点火するための「導爆線」も準備します。
コードリールに巻かれた導爆線を、起爆安全位置まで伸ばします。電気的に点火するので導爆線、火を直接点けるのが導火線です。
導爆線コードリールを持って安全距離まで伸ばしていきます。信管部分への取り付けも進められています。
ロケットレンチ接続用のバイスを信管に固定しました。ボルトで信管を挟み込んで確実に固定します。
この取り付けが不十分だと起爆時に信管が回転せずに脱落するなどして危険です。導爆線準備の隊員は起爆装置との接続を行っています。
指揮官が危険物である「電気式薬莢」を厳重なケースから取り出しています。
起爆に用いる爆薬なので取り扱いには細心の注意が必用です。その電気式薬莢を爆薬を準備する隊員へ渡します。
導爆線と起爆装置の接続が完了した様で指揮官へ準備完了の合図を送っています。
爆薬を準備する隊員はロケットレンチに電気式薬莢を取り付けています。ロケットレンチの準備が整うと信管に接続したバイスに固定します。
レンチ用バイスにロケットレンチを固定します。ロケットレンチ固定が完了し、接続完了の合図を送ります。隣の隊員は、接続する導爆線の末端を準備しています。
起爆と同時にロケットレンチと信管が吹き飛ぶためレンチをロープで鉄柱に繋げます。
起爆によりロケットレンチ自体が遠方飛んで行くのも危険なので、この処置を施します。鉄柱固縛が完了したら、最後に導爆線の接続をします。
導爆線接続に不備や誤りが起きない様に隣で別の隊員が監視します。
危険作業は一人に全てを任せるほど危ない事はありません。確認と共に隣の隊員は接続した導爆線へ巻く絶縁テープも手渡しています。
電気式薬莢・ロケットレンチと導爆線の接続が完了しました。
隣の隊員、指揮官が最終確認を実施して安全に実施できるか確かめています。これで起爆の準備が整いました。
取り付けを行っていた隊員達は1/2tトラックに乗車。起爆が行える安全距離まで離脱します。
起爆装置を準備していた隊員の場所へ向かいます。
起爆前に会場に来られている方々へ起爆装置の説明をしています。
この装置のスイッチを入れると爆薬に導電して爆発する。それでは、いよいよ起爆装置のスイッチが入れられます。
爆薬点火 2つの爆薬が一気に爆発し、高速でロケットレンチが回転を始めます。空気を切り裂く爆音と共に、もの凄い勢いで回転しているのが分かります。
一瞬でロケットレンチ共に信管が取り外されました。不発弾横に落下しています。
爆風により、不発弾下部の土嚢が破壊されています。この起爆時の空気を切り裂く爆音は、実弾射撃時の戦車砲に近い感じでした。50m程の距離での実施だったので、より凄く感じたのかもしれません。
最後に不発弾が無害化されているか接近して周囲を確認。安全が確認できて不発弾無害化処理が完了です。
信管の取り外し後に、導爆線などを取り外します。起爆装置と導爆線リールも、この後撤収します。
不発弾処理訓練展示は以上ですが訓練に使用された模擬不発弾の撤収も見学します。
会場に不発弾処理隊のトラックが進入します。到着した車両を不発弾横に停車させ、車止めをします。
処理隊トラックの荷台にはクレーンが搭載されています。クレーンを起動させ、アームを伸ばして不発弾上部へ移動させます。
車両到着までの間に、吊り上げのための玉掛けを不発弾に施しています。
玉掛けをした不発弾のナイロンロープをクレーンフックに接続して、慎重に地切りをして少しずつ吊り上げていきます。
玉掛けと地切りが悪いと落下させるなどの危険が生じます。慎重に車両荷台部分へ移動させます。
ゆっくりと積み込み、荷台へ不発弾を固定します。シートで覆いをして搬送準備完了です。第102不発弾処理隊が会場から離脱します。
使用されたロケットレンチや起爆装置などです。器材を1/2tトラックに積み込み、こちらも撤収します。
以上で第102不発弾処理隊による不発弾処理訓練展示を終了します。
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