陸自調査団 陸上自衛隊装備品戦車・機動戦闘車

74式戦車

74式戦車74式戦車
74式戦車(G型)改74式戦車(G型)改
74式戦車|砲塔前方砲塔前方
74式戦車|砲・砲塔砲・砲塔
74式戦車|車体後部車体後部
74式戦車|履帯部分履帯部分
74式戦車|同軸機関銃同軸機関銃
74式戦車|発煙弾発射機発煙弾発射機
74式戦車|装備品展示装備品展示
74式戦車|戦車壕戦車壕
74式戦車|戦車壕戦車壕前方
74式戦車|防護板装着防護板装備
74式戦車|降雪時降雪時
74式戦車|戦車の洗車戦車の洗車

動的展示・行進

74式戦車|姿勢制御姿勢制御
74式戦車|観閲行進観閲行進
74式戦車|小隊行進小隊行進
74式戦車|小隊行進小隊行進
74式戦車|観閲行進観閲行進
74式戦車|観閲行進観閲行進
74式戦車|機動展示機動展示

射撃・砲弾

74式戦車|空砲射撃空砲射撃
74式戦車|実弾射撃発射炎実弾射撃
74式戦車|実弾射撃発砲炎実弾射撃
74式戦車|実弾射撃発砲炎実弾射撃
74式戦車|粘着榴弾(HEP)粘着榴弾(HEP)

74式戦車改(G型)

74式戦車(G型)改74式戦車(G型)
74式戦車(G型)改:車体後方車体後方
74式戦車(G型)改:レーザー検知器レーザー検知器

資料館・広報館展示機

74式戦車|広報センター展示車広報センター
74式戦車|富士学校試作車富士学校試作
74式戦車|新町駐屯地展示新町駐屯地展示
74式戦車|守山駐屯地展示守山駐屯地展示
74式戦車|別府駐屯地展示別府駐屯地展示

旧装備:61式戦車

61式戦車:新町駐屯地展示61式戦車(新町)
61式戦車:守山駐屯地展示61式戦車(守山)
61式戦車:松本駐屯地展示61式戦車(松本)

装備品性能詳細

配 備 1974年9月
価 格 約4億円
全 長 9.41m
全 幅 3.18m
全 高 2.25m(標準姿勢時)
全備重量 約38t
最高速度 約53km/h
登坂能力 60%
旋回性能 超信地
搭載機関 三菱10ZF22WT
空冷2サイクルV型10気筒ディーゼルエンジン
出 力 720PS/2200rpm
乗 員 4名
武 装
開 発 防衛省技術研究本部
(現:防衛装備庁)
製 造
  • 車体・砲塔:三菱重工業
  • 主砲:日本製鋼所

装備品概要解説

74式戦車:評価支援隊74式戦車:評価支援隊

74式戦車は戦後2両目となる第2世代の戦車です。戦後に初めて国産開発された61式戦車の後継として導入されました。

開発は1964年から始まり、1969年に第1次試作車、第2次試作車と試験が行われます。その後、技術・実用試験などを経て、1974年9月に74式戦車として正式採用されることになります。ちなみに74式戦車の正式な後継機は10式戦車です。74式戦車に続いて開発された90式戦車は冷戦時代の北方防衛を考慮して開発され北部方面の限定配備車両です。全国配備の第3世代戦車としては10式戦車が後継装備となっています。

74式戦車は国産戦車としては初となるNBC(核・生物・化学)兵器に対する防御能力を備えています。東日本大震災では福島第1原発で起きた水素爆発後の放水冷却の障害となっていた瓦礫を、車体前部に取り付けられたドーザーブレードで除去する作業にも出動しました。これは戦車が分厚い鋼板で覆われていることに加えて、NBC防護装置のエアフィルターが搭載されているため可能になった対応です。しかしこれらの装備があっても線量が低下するだけで被曝を完全に避けられるわけでありません。

他にも、追加パーツとしてシュノーケルを装着することで、河川などへの潜水渡河機能も備えています。

車体構造

74式戦車|姿勢制御姿勢制御

砲塔は鋳造構造(高温で溶かした金属を型に流し込んで成形する製造法)で、被弾時の避弾経始(砲弾の衝撃を分散して跳弾させる事)を考慮した丸型の形状です。砲塔内には右側前部に砲手、その後ろに車長、左側に装填手が搭乗しています。

車体は砲塔とは異なり溶接構造で、砲塔と同様に操作性重視の居住性を犠牲にした作りになっています。配置としては車体前部左側に操縦手席、その後ろ中央部に戦闘室、車体後部に三菱10ZF22WT空冷V型10気筒ディーゼルエンジンが搭載されています。このエンジンはトランスミッションと一体化されたパワーパックになっています。

搭載される三菱ZF型エンジンは構成部品が共通化されていて、必要なパーツを組み合わせて出力の異なるエンジンを作り上げます。

足周りのサスペンションには国産初の油気圧式のものが採用されています。車体を上下に200mm、前後に各6度、左右に各9度ずつ傾けられ、山間部や傾斜地の多い日本の地形でも平地同様の射撃が可能です。また主砲の俯角(水平状態から角度)が-6~9度に限定されていますが、この姿勢制御で補われているとも言えます。

74式戦車の武装

74式戦車|実弾射撃発射炎実弾射撃

主砲にはイギリスのロイヤル・オードナンス社(現:BAEシステムズ)の51口径105mmライフル砲L7A1が搭載され、国内で日本製鋼所によるライセンスが行われています。
この砲はアメリカのM60戦車やドイツのレオパルド1にも使用されている信頼性のある戦車砲です。砲身にはサーマルスリーブが装着され、射撃時に発生する熱で砲身自体が歪むのを防いでいます。

主砲左側には74式車載7.62mm機関銃が同軸機関銃として搭載。砲塔上部の中央には自衛火器として対空射撃にも使える12.7mm重機関銃M2を備えています。他にも砲塔後方両側に自衛用の3連装の発煙弾発射機や、近年では広帯域多目的無線機を装備した車両も増えている。また砲塔左側に投光機を装備した車両もあって、赤外線や白色の光を照射、アクティブ式赤外線装置による夜間戦闘も可能です。

74式戦車と同時期に研究開発が進められていた射撃統制装置は、レーザー測遠機、アナログ式弾道計算機、砲安定装置などから構成され、照準潜望鏡、直接照準眼鏡、方向指示器、高低照準具からなる間接照準具も装備されています。

砲弾には、75式105mmTKG粘着榴弾(HEP)の他に、現在では貫通力を向上させた91式105mm多目的対戦車(HEAT)や105mmTKG装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)が主に使用されています。複合装甲を備えた第3世代以降の戦車にも対抗可能な処理がとられています。

マイナーチェンジと派生型

74式戦車(G型)改74式戦車(G型)

74式戦車は初期型の生産後、時代に合わせた改修を施した"B~G型"までのタイプが作られています。
その中でもレアなのが「74式戦車改(G型)」と呼ばれるタイプで、レーザー検知装置、パッシブ式暗視装置、サイドスカート等を装備した車両が4両だけ試作生産されています。現在は静岡県 御殿場市の駒門駐屯地や富士学校・富士駐屯地でのみ見る事ができます。

また、74式戦車の車体やエンジンを流用した装備品もいくつか開発されています。74式戦車の配備に合わせて開発された整備・改修を行う"78式戦車回収車"、砲塔が無い以外はほとんど74式戦車と同じ"91式戦車橋"、各種レーダーやコンピュータを搭載した"87式自走高射機関砲"などがあります。既存装備の設計やパーツ流用を行うことで、開発期間の短縮やコストの軽減に繋がります。

すでに生産は終了していて、1989年までに873両が製造されています。順次、10式戦車へ更新されていく予定ですが、全て置き換わるまでは現役で74式戦車が活躍し続けます。