陸上自衛隊装備品
陸上自衛隊に配備・運用される戦車・火砲・航空機などの装備品
ここでは陸上自衛隊が保有して運用する、「戦車」・「装甲車」・「火砲」・「航空機」などの装備品を目的種類別に分類し掲載していて、特徴として自衛隊では海外の軍隊での「兵器」を「装備品」として呼称します。
防衛出動による有事の際に、敵部隊の侵攻に対処する戦車や榴弾砲、誘導弾(ミサイル)、航空機などが、いかなる不足の事態にでも対応できる特別な機能・性能を持つ装備品が多種多様に各駐屯地に配備されています。
自衛隊の任務には火器による戦闘行為だけではなく、近年増加傾向にある自然災害における災害派遣に活躍する、救助機材や給水・食料支援(炊き出し)などの支援任務にも使用できる装備品も装備・保通しています。
高い防護力と機動性、装甲を貫通する戦車砲を併せ持つ装甲戦闘車両で、履帯(キャタピラ)による足周りは不整地でも舗装路とかわらない速度での走行が可能です。
装甲への複合素材の使用やC4Iなどのネットワーク化された指揮統制装置により、戦車による作戦も変化しています。
陸上自衛隊としては初となる105mmライフル砲を搭載した装輪式の戦闘車両(MCV)で、8輪コンバットタイヤ車体に砲塔を搭載して10式戦車の防御装置などを備えます。C-2輸送機による空輸も可能となっています。
回収車の任務は戦車や装甲車両が作戦地域で行動不能の際に、クレーンやウインチなどで回収作業を行います。
整備場所までの牽引や、クレーンにより砲身やエンジンの交換も行います。
装輪車両の大型化に合わせて、大型装輪向け回収車の配備も進められています。
舗装された道路が各地に整備されている日本では、タイヤによる装輪式の装甲車が重要です。
履帯(キャタピラ)を使用した装甲車は、北海道などの不整地の多い地域に適しています。
銃撃から隊員を防護する以外にも、砲弾破片の直撃を避ける目的も装甲にはあります。
ここでの装輪車両とは、基本的に装甲が施されていない人員輸送や物資運搬を目的とした車両の事で、小型の4輪駆動車から大型の戦車運搬トレーラーなど、自衛隊車両には様々な用途に合った構造なのが特徴です。
装備されている車両は物資・人員・装備などを運搬できる荷台や装置が搭載されているトラックです。
非装甲の汎非常に汎用性の高い中型輸送トラックで、トヨタのメガクルーザーを自衛隊仕様にした車両です。
93式近距離地対空誘導弾やレーダー装置の車体としても使用され、120mm迫撃砲などの牽引にも使われています。
偵察や連絡任務に使用される二輪車のオートバイで、以前はホンダ車でしたが現在はカワサキのKLX-250が使われています。
一般仕様の車体に無線機ラックやガードを取り付けて、OD色に塗装されています。
陸上自衛隊と言えども空からの支援や運搬はなくてはならず、航空機も重要な装備として様々な種類の機体が配備されています。
有事の際には高速で敵部隊上空に進入して偵察する偵察ヘリ、機関砲や誘導弾により目標車両を撃破する戦闘ヘリ、車両を搭載や吊り下げて運搬する大型輸送ヘリなど様々です。
災害時にも被害状況確認のために上空から映像を本部へ伝送したり、ホイストなどで要救助者を救出するのにも使用されています。
アメリカ軍で使用されていた小型観測ヘリコプターを「J型」として導入した後に、各種改良を加えた機体が現在の「D型」です。
タマゴ型の小さなヘリですが、前後合わせて最大4名まで搭乗できます。
OH-6Dの後継として開発された純国産の観測ヘリで、グラスファイバーの機体やヒンジレスローターなどの使用で高い運動性能を持ちます。
OH-6Dには無い空対空ミサイルポッドも自衛用で搭載しています。
アメリカ軍で使用されているブラックホークを自衛隊仕様にした機体で、海上自衛隊や航空自衛隊でも同系統のものが使われています。
12.7mm重機関銃を搭載してドアガン射撃を行ったり、災害時にはホイストで吊り上げて人員救助なども行われます。
元となった機体はベトナム戦争でも使われた世界初の本格的な戦闘ヘリで、近代化改修が行われているステップⅢと呼ばれるものです。
前方にガンナー、後部にパイロットが搭乗するタンデム式で、回転式20mm機関砲や対戦車ミサイルなどを装備しています。
当初はコブラの後継として導入した戦闘ヘリで、「空飛ぶ戦車」とも呼ばれる程の高い防御力と攻撃性能を持った機体です。
D型の特徴的な機体上部のロングボウレーダー以外にも、30mm機関砲やヘルファイア対戦車ミサイルなどで武装しています。
主に海外の国賓や総理大臣などの要人を輸送する特別なヘリで、AS-332Lの旧式化なため導入された機体で、武装はありませんが自衛のためのミサイル防御装置を装備しています。
配備されている場所も木更津駐屯地の輸送部隊だけという珍しいヘリです。
世界各国で使用されている米ボーイング社の大型輸送ヘリで、KV-107Ⅱの後継として導入して、国内でライセンス生産を行っています。
当初導入した「J型」から、燃料タンクを倍にしてGPSや気象レーダーなどを追加した改良を加えた機体が「JA型」です。
連絡偵察機として使われていたMU-2(LR-1)の旧式化のため、民間のキングエア350を自衛隊仕様に改良した機体がLR-2です。
改良としては急患搬送用のストレッチャーの搭載や、偵察用カメラ追加などが行われています。
放物線を描いて遠方へ砲弾を撃ち込む榴弾砲や、航空機を迎撃する対空機関砲などを自走化した車両で、本州に配備されている火砲のほとんどは車両で牽引式するタイプです。
この自走式装備も北海道や九州の部隊を中心に配備されています。
75式自走155榴弾砲の後継として開発された国産の自走榴弾砲で、エンジンなどの多くの部分に89式装甲戦闘車のものが流用されています。
装弾車から送られた砲弾を自動給弾・自動装填して、最大3分間に18発の連続射撃が可能です。
アメリカのM110A2 203mm自走榴弾砲で、陸上自衛隊としては最大の火砲です。
空輸を行える前提のため装甲はなく砲がむき出しで、射撃時には車体後部のスペード(ブレード)を地面に食い込ませて射撃の反動を抑えます。
35mm二連装高射機関砲L90に装甲を施して自走化させた対空機関砲で、74式戦車の車体に捜索レーダーなどを搭載しています。
教育部隊(高射学校)以外では、北部方面隊に限定して配備されている貴重な車両です。
車両で牽引して作戦地域後方に展開して遠方から砲弾を敵部隊へ撃ち込む榴弾砲や迫撃砲は、射撃した砲弾が放物線を描いて飛翔したのちに敵陣地などを面制圧します。
通常弾以外にも装甲車へ向けた対戦車榴弾や、視界を遮る煙幕弾など状況に合わせて使用します。
英・独・伊のヨーロッパ三カ国で共同開発された牽引式榴弾砲で、日本でもライセンス生産を行っています。
牽引式ですが射撃後の離脱など、APUと呼ばれる補助動力を搭載しているので短距離なら自走する事もできます。
射撃と同時に火砲後方にガスなどを噴射して反動を最小限にするものが無反動砲(バズーカ)で、スウェーデン製のカール・グスタフと呼ばれる携行式対戦車火器です。
素材変更などで軽量化された「M3(B型)」も新たに導入しています。
戦車や榴弾砲を無力化するのには、同じ地上の火力で攻撃するよりも圧倒的火力による航空支援が有効で、敵も戦闘機・ヘリ・巡航ミサイルなどを使用して地上部隊を攻撃しようとします。
その空からの脅威に対して地上に展開した地対空誘導弾(ミサイル)で迎撃する装備です。
レーダー・発射機・装填車など多数の構成からなる中距離地対空誘導弾で、誘導弾などは3t半トラックで牽引して作戦地域まで移動します。
目標を補足して発射したあとは誘導弾が自動追尾するセミ・アクティブレーダー誘導方式が使われています。
高機動車後部に91式携帯地対空誘導弾が4発入ったコンテナを搭載した近距離目標を迎撃する誘導弾です。
照準機搭載のヘルメットとコントローラーで目標を捕捉・追尾して、射撃手が誘導弾を発射します。
3t半トラック後部に地対空誘導弾4発入り旋回式の発射機が搭載された純国産の短距離地対空誘導弾です。
「C型」は射程の延長・撃墜率・対妨害性などの改良型が施され、光波弾・電波弾を選択して使用します。
81式短距離地対空誘導弾の後継として開発された装備で、巡航ミサイルや高機動戦闘機などに対処できる様になりました。
誘導弾格納容器は横一列に4本並べた構造で、レーダーにはアクティブ・フェーズド・アレイが採用されています。
ホーク改の後継として開発された純国産の中距離地対空誘導弾で、重装輪車ベースの車体後部に発射時に垂直になるコンテナを搭載しています。
有効射程は約50kmともされ、航空自衛隊が保有するPAC-3以上の性能があるともいわれています。
戦車・装甲車・艦艇などを撃破するためには大口径の火砲を用いる以外にも、誘導弾(ミサイル)を使用して遠距離から捕捉して撃破することも有効です。
装甲に適した炸薬を弾頭に搭載した誘導弾を選択することで、普通科隊員個人が携帯した装備でも装甲車両を撃破できます
様々な誘導方式により安全を確保しながら射撃が行えるのも特徴です。
無反動砲と同様に個人で携帯して敵戦車などの目標を撃破する最新の対戦車誘導弾で、撃ちっぱなしが行えるので生存性も高くなります。
水平飛翔する低伸弾道モードと、敵車両上部から襲いかかるダイブモードが選択できます。
有線式の64式対戦車誘導弾から進化して、光学式半自動誘導方式が採用された対戦車・対舟艇ともに使用できる多目的ミサイルです。
重MATとも呼ばれる誘導弾で、89式装甲戦闘車の砲塔両側にも搭載されています。
88式地対艦誘導弾の後継として開発された地対艦誘導弾で、03中SAM同様に重装輪車ベースの車体に垂直発射式のコンテナを搭載しています。
GPS等を搭載した誘導弾は、山陰などから射撃が行えるため生存性も向上しています。
F-1支援戦闘機搭載の80式空対艦誘導弾ASM-1を地上発射にした装備で、3t半トラック後部に6発入りのランチャーを搭載しています。
ロケットモーターで飛翔後に小型ジェットエンジンに切り替わり目標に誘導されて命中させます。
防衛任務の際には火砲や戦車による戦闘以外にも、各隊員が小銃や機関銃を個人携行して敵に対応しなくてはなりません。
普通科隊員が小銃や機関銃を使用して車上からの射撃や、徒歩で前進して敵歩兵と戦闘する場合もあります。
戦車や装甲車を操縦する隊員の場合も自衛のために機関銃や拳銃を携帯したり、車両上に重・軽機関銃を搭載して向かってくる敵を無力化します。
陸上自衛隊としては初めてとなる本格的な対人狙撃銃で、アメリカのレミントン社製の狙撃用ライフルです。
構造の単純化と精度を求められているため、給弾はボトルアクションの単発式です。
62式7.62mm機関銃の後継として導入したベルギー製の機関銃で、89式5.56mm小銃と同じ弾薬が使用できます。
給弾は状況に応じて弾倉・リンクベルトを使い分けられます。
M1919A4重機関銃の後継として62式7.62mm機関銃を改良して車載化した機関銃で、三脚架に取り付けての使用可能ですが主に戦車や戦闘装甲車の主砲同軸機関銃として搭載されて自衛などの射撃に使われます。
手榴弾を銃から撃ち出す擲弾(てきだん))として日本独自開発された軽量型オートマチック・グレネード・ランチャーです。銃架でも使用可能ですが主に96式装輪装甲車に搭載して対人・対装甲車両目的に使われます。
社会生活を脅かす銃や爆弾などの物理的に破壊する武器以外にも、目に見えない物質を使用した脅威も存在します。
炭疽菌などの微生物やウイルスを使用する生物兵器、サリンやVXガスなどの毒ガスによる化学兵器、圧倒的破壊力と放射能汚染を引き起こす核兵器など、国家単位以外にもテロリストがこれらの兵器を使ってくる場合もあります。
NBC(核・生物・化学)兵器に対処するため化学防護車ではできなかった生物系の検知・特定も可能になった装甲化された化学防護車両です。
車上には12.7mm重機関銃を車内から遠隔操作できる銃座が備わっています。
化学科部隊に配備されている汚染地域の物質検知・特定を任務とした車両で、82式指揮通信車をベースに各種検知器などを搭載しています。
後部にマニピュレーター(ロボットアーム)が備わっているのが特徴です。
需品装備には作戦地域に展開する宿営地の野外天幕や空挺降下に使われる空挺傘(パラシュート)、後方支援や災害時に野外で調理(炊き出し)や給水を行うためのフィールドキッチンなど様々です。
日本の自衛隊ならではの装備として、屋外で浴槽に浸かれるお風呂や移動式洗濯機など生活に欠かせないものまであります。
自然災害が増える傾向にある中で、自衛隊の災害派遣による被災地での復興支援においても需品装備は重要な役割を果たしています。
作戦地域の後方支援だけではなく、災害派遣時の炊き出しにも使用される機会が多い装備で、3t半トラックで牽引する移動式調理器材です。
炊事性能は非常に高く「45分以内に最大250人分を同時調理」が可能です。
3t半トラックでポンプやボイラーなどを牽引して作戦地域後方や災害派遣先で、屋外入浴施設を展開できる装備です。
1度に最大30名が入用可能で、浴槽以外にもシャワーや蛇口の付いた洗い場もあります。
自衛隊だけではなく各国の軍隊においても工兵による掩体壕構築などの土木作業は重要で、民生品と同様のブルドーザーや油圧ショベル以外にも装甲化された工作車両なども装備しています。
施設科部隊は塹壕構築以外にも、陣地作成、道路整備、障害除去など作戦には欠かせない装備を多数運用しています。
75式装甲ドーザの後継として開発された装甲工作車両で、コンピュータ制御可能な伸縮式アーム付き掘削用バケットや排土装置(ブレード)を装備しています。
火器は搭載されていませんが、自衛のための発煙弾発射機は備えています。
中型ドーザに代わる作戦地域でも活動可能な装甲化されたブルドーザーで、中央が可動する中折式のドーザーブレードを車体前部に備えています。
排土作業以外では後ろの操縦装置に移動して、ブレード側とは逆方向に走行します。
有事の際には敵は部隊の前進を妨げるために河川に掛かる橋を破壊することがあり、大型車両が通過するための橋の存在は、陣地防衛や侵攻する敵共に重要な存在となります。
橋の破壊で河川を通過ができなくなった場合に短時間で構築しなくてはならず、そのための架橋装備は日本以外にも様々な国で開発されています。
土石流や地震で橋が崩落した場合にも河川を架橋装置で掛けて、緊急車両を通過させるためにも使われます。
81式自走架柱橋の後継として開発された架橋装備で、最大60tの車両を通過させられるため、約50tの90式戦車などが橋を通過させることもできます。
河川に橋脚を設置する必要がないでの、川の状況に影響されずに橋の構築が可能です。
運搬が必要な組み立て式パネル橋とは異なり74式特大型トラックに架橋装置が搭載されているため、機動力と展開時間の速さに優れています。
単独ではなく1セット6両で構成され、接続すると最大60mの橋を構築することが可能です。
日本も対人地雷禁止条約の調印により対戦車目的以外での地雷を破棄しました。
しかし戦車などの対車両の地雷は磁力などで反応するため人への直接的に危害を与えないため、自衛隊も対戦車地雷を散布・敷設する装備を保有しています。
敵も地雷を陣地前方などに構築するため地雷設置装備と共に、地雷を処理して無力化する装置も必用になります。
73式牽引車の車体をベースに開発された自走式の地雷原処理装置で、車体後部ランチャーには地雷原処理ロケットを2発格納しています。
爆薬付きをワイヤーが接続せれたロケットを投射して、地雷原に落下させた後に起爆して地雷を無力化させます。
UH-1Jなどの多用途ヘリコプター側面にコンテナを搭載して、上空から装置内の地雷をバラ撒く装備です。
片側1装置に18個の地雷が入っていますが、もちろん対人地雷は使用されていません。
3t半トラックの荷台部分にクレーンやアースオーガー(地面を掘るドリル)などを交換可能な伸縮式アームを搭載しています。
対戦車障害を構築する以外にも、電柱を埋設するための穴を掘ることにも使われます。

地対空誘導弾などの車両搭載型装備には目標を探索する探索や追尾レーダー装置などが同時に運用されることで、1つのシステムとしての機能が発揮されます。
レーダー装置と同様に収集した情報を師団や中隊などへ伝える通信装置の存在も、情報が戦場の勝敗を決めるため、収集や共有を円滑にネットワーク構築なども作戦には欠かせません。
高機動車の荷台部分に装置本体やアンテナなどを搭載した装備で、1車両で運用が可能なため機動性に優れています。
高射特科に装備され、低空で侵入してくる航空機などの全周囲監視が行えます。
無線搬送装置1号JMRC-C10/R10の後継として開発された通信装置で、前線と作戦本との部野外骨幹回線を構築します。
単独での通達距離は100kmにもなります。